不動産

豪州商業用不動産:セクター別に見る回復への道のり

低金利環境と不透明感が続く中で、分散戦略を通したディフェンスを目指す投資家はチャレンジに直面しています。シクリカルな資産クラスである豪州の商業用不動産セクターも、ここ12か月で新型コロナウイルス感染の影響をフルに受けていますが、その回復期を通して、イールドと安定性を確保する機会が提供されるとAMPキャピタルでは見ています。

 

小売

新型コロナウイルスの脅威が続いており、再び訪れるかもしれないロックダウンの恐怖とともに、マスク着用やソーシャルディスタンシング、利用者チェックインといった規制や感染防止策を万全に期した状態で、小売店舗は営業を続けています。これに加え、昨年の感染初期に爆発的に普及したEコマースの影響がまだ残っている模様です。

とはいえ、実店舗は今後、よりEコマースに特化した役割を担う重要なプレイヤーとして活躍を続けると予想されます。消費者のニーズを満たす体験を提供する店舗は引き続き顧客を惹きつけると見られ、多くのブランドではコロナ危機以前から実店舗をショールーム化してEコマース売上の拡大を図っています。

しかし、新型コロナを背景に小売スペースの取引は減少しています。賃料リスクが出る中で、投資家はより優れたイールドをロックインする機会を待っている模様です。

小売セクターの一部ではまだバリューが残っており、複合施設や集合住宅プロジェクトなど、ショッピングセンターを別用途で活用するといったオポチュニティがあると考えています。

 

オフィス

オフィスセクターも、在宅勤務が主流化したことによる需要鈍化という課題に直面しています。この世界的な流れに関しては、長期的な構造変化が予想されるものの、2021年を通して出社勤務復活の流れが見込まれます。ワクチン接種の開始がこの流れをサポートする一方で、より重要なポイントとして、経済全体が回復している点、そしてオフィススペースが生産性とコラボレーション面で提供する価値について、より幅広く認識されるという点が挙げられます。

優良オフィスに対する需要は継続するものの、その定義は変化しています。健康や安全性が最優先される一方で、在宅勤務が幅広く普及した今、人々が集まる場所への注目が高まっています。オフィススペースが縮小すれば、同じビルやフロアに入居するテナント数が増加しますので、異なるテナントニーズにどう対応するか、新たな検討が必要です。

不動産マネージャーは、商品の差別化に積極的に取り組み、テナント満足度を高めることで、競争優位性を維持する必要があります。

 

ロジスティクス

当分の間は、新型コロナウイルス感染で普及が加速したEコマースという長期トレンドをサポートするアセットが恩恵を受ける構図が継続する見通しです。特にそう言えるのは、西海岸の運輸や倉庫サービスです。

タイトな市場ではありますが、バリュエーションは改善が継続すると見られます。豪州国内の投資マネーは既に同セクターへと流入してきていると見られ、海外投資家においても、パンデミックへのエクスポージャーが比較的少ない市場やセクターへの資金移動を検討する動きが広まるでしょう。これら資金が追う投資機会は数多くないことから、慎重に投資先資産を選択する必要があります。人口が多く、購買力に優れた都市部で主要顧客に程近いロケーションのアセットは、需要が高くプレミアムで取引されるでしょう。この様なエリアにおいて土地を確保することは難しいため、収入に関係なく、長期に渡って資産価値の向上に寄与すると予想しています。

 

オルタナティブ

商業用不動産の主要3セクターとは異なった投資機会が数多く登場しています。IoT(モノのインターネット)や自動運転などを背景に需要が高まるデータセンター、住宅不動産への大規模なエクスポージャーを提供するビルド・トゥ・レント(賃貸用集合住宅)、新型コロナを背景に需要が高まるメディカルオフィス・ビルなど、キャッシュフローと資産需要が長期トレンドから恩恵を受ける分野では、ディフェンシブ性に優れたポジションの獲得が可能です。

この様に、2021年は幅広い不動産セクターで投資機会が提供されるとAMPキャピタルでは見ています。コロナ禍からの回復が進行する中で、低金利環境下におけるイールド獲得と長期の分散戦略を目指す投資家にとって、不動産は魅力的な投資先であると考えています。

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不動産部門リサーチ担当ヘッド ルーク・ディクソン

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