グローバル

リアルアセット2021年の見通し:リアルアセットにおけるESG

2020年は波乱、そして激変の一年となりました。新型コロナウイルスというパンデミックによって私たちの生活と働き方は大きく変化し、深いリセッションが世界経済を揺るがす中で各国政府は過去に類を見ない規模の金融刺激策を次々と打ち出し、リアルアセット(実物資産)セクターではドライパウダーの積み上がりが一段と増加しました。一方で、気候変動に対する危機意識の高まりと取り組み強化に対するコミットメントが見られた点は、プラスの展開でした。現代社会を形成する様々な革新は、コロナ禍で加速しています。パンデミックとの闘いが続く中で、不透明感に覆われた2021年の様相は、昨年とは異なります。

ここでは、インフラストラクチャー・エクイティとインフラストラクチャー・デット、実物不動産、グローバル上場不動産とグローバル上場インフラストラクチャーの各チームが、注目する2021年の主要なテーマと投資機会を紹介します。

最終回は、リアルアセットにおけるESGに関する運用担当者の見解です。

ESG:LPチェックリストの重要項目に

昨年最も顕著だったトレンドの一つが、ESGに対する関心の高まりです。機関投資家にとって目新しい取り組みではないものの、昨年注目が高まったことで、ESGは「当たり前」の取り組みになったと言っても良いでしょう。運用者の観点からは、新しいグリーン投資サブセクターが注目されるなど、投資案件の模索に際してもこの流れが確認されているほか、投資ポートフォリオとそのサプライチェーンのモニタリングや報告といった取り組みが進んでいます。

欧州では、廃棄物発電や地域熱供給といったセクターで魅力的な投資機会が提供されています。ESGの観点から見過されがちなデジタル・インフラも、社会面でポジティブな影響をもたらすケースもありますが、(光ファイバーケーブルの敷設やデータセンターにおける水利用など)環境負荷について十分な評価を行う必要があります。

ESG投資において今年注目されるトレンドのひとつが、電化です。現在はインフラとサービスを一体化したビジネスモデルが多い電気自動車(EV)の充電インフラについては、今後の展開に注目しています。これは、インフラとテクノロジーを活用して、今ある街をスマートシティへ変えていくという将来を見据えたテーマの一環です。現在のところ、電化という投資テーマへのエクスポージャーを獲得するシンプルな方法は、エネルギー転換に直結した投資です。先行する環境リスクが許容できるのであれば、既存発電資産のクリーンエネルギーへの移行を支援する投資は、人気が高い案件です。

ルーパ・マーシー

インフラストラクチャー・デット部門パートナー(ロンドン)

脱炭素の一年

エネルギー転換は、インフラ資産に莫大な規模のオポチュニティをもたらします。これまでは、電力供給の安全性と価格にフォーカスしたエネルギー政策が主でしたが、現在は環境負荷へと軸足が移っています。排出削減を達成するためには、新しい政策や規制、テクノロジーを活用したインフラの導入に際して協調性のある対応が必要です。当社では、次の分野で投資機会が提供されると見ています:

  • 電力関連インフラ(再生可能エネルギー、電力網、スマートメーター、電力貯蔵)
  • ガスと水素関連インフラ(水素と再生可能ガスの製造、輸送網、産業用熱と地域熱供給)
  • 炭素回収・貯蔵
  • 運輸(脱炭素の取り組みにインセンティブを付与する価格戦略)
  • エネルギー効率

ミケル・デブス

グローバル上場インフラストラクチャー、ポートフォリオ・マネージャー(ロンドン)

運輸:脱炭素化に向けた次なるステップ

世界の温室効果ガス排出の最大要因となってきた発電部門は、ここ10年で低炭素発電に向けて大きく前進しており、この勢いが衰える様子はまだ見られません。そして今、この電力大改革を後押ししたメガトレンドによって、運輸セクターが大変貌を遂げようとしています。中長期的な気候変動目標を達成するためには、世界のCO2排出量の1/4を占める運輸セクターの脱炭素化が必要不可欠です。これを受けて、各国の政府や地方自治体は大規模な政策開発に取り組んでおり、排出ゼロの輸送手段を後押しする追い風が吹いています。テクノロジーの進化が継続していることからも、今後1年以上に渡り、eモビリティを代表する同分野への資金流入が増加すると予想されます。

アンソニー・ハドリー

インフラストラクチャー・エクイティ部門インベストメント・ディレクター(カリフォルニア)

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