インフラストラクチャー

欧州におけるエネルギー転換 PART1:取り組みはまだ始まったばかり

By ジュゼッペ・コロナ
グローバル上場インフラストラクチャー、ヘッド 英国、ロンドン

エネルギー転換は、大規模かつ複雑な課題です。

1980年代からこの取り組みを続けてきた欧州を例に取り、
全4回のシリーズを通してエネルギー転換を考えます。

PART1:取り組みはまだ始まったばかり

 

エグゼクティブ・サマリー

エネルギーは今後30年における課題であり、オポチュニティであるとAMPキャピタルでは考えています。これまで重要視されてきたのは安全な供給と価格でしたが、今日では環境汚染の代償が認知されています。最大の課題は炭素排出です。これらの排出削減は、気候変動の緩和に寄与するだけでなく、その他の汚染物質や毒素、微粒子によるダメージを抑制します。

欧州は、1980年代からこの取り組みを続けており、石炭火力発電所を閉鎖し、省エネを達成してきました。今後は、再生可能エネルギー導入において得た専門性を活用することで、クリーン電力の供給拡大や、水素や炭素の回収などソリューションを提供する産業の育成に向けた取り組みが必要です。

排出の更なる削減に向けて、欧州は次のインフラストラクチャー(インフラ)投資に着手する必要があるでしょう:

  • クリーンエネルギー発電の拡大と安定化
  • 電力網の拡大、強化、安定化、デジタル化、需要の操作と仮想発電所の設置
  • 古い輸送(鉄道やバス)と新しい輸送(EV)の融和に向けた輸送インフラの開発と改善
  • 水素や炭素回収技術の経済的な実現
  • 不動産や産業用資産への投資を通じたエネルギー効率の向上

全産業で取り組むにあたっては、再生可能エネルギー開発において2011年以降妨げ・足枷となってきた補助金の膨張を回避するために監督枠組みの改善が必要です。エネルギー政策は、横断的かつ主要な問題に発展すると、当社では考えています。財政面や政府による取り組みは莫大な規模になると予想され、社会、環境、金融の観点から長期の価値をもたらします。

AMPキャピタルでは、これらのテーマに沿った投資を行っており、この取り組みを行う企業への資金を提供しています。

課題とオポチュニティ

エネルギー転換は、金融面、社会面、そして環境面でのオポチュニティ

AMPキャピタルでは、持続可能な未来を創るためにはインフラへの投資が不可欠だという点を常に認識しており、そのインフラ投資を成功に収めるにあたり必要となる長期的な視点については、当社におけるESGとサステイナビリティの枠組みで解説されています。従って、ESGは企業評価の大きな部分を占める重要な要素となっています。

エネルギー転換を実現するには、次の分野における大規模かつ長期の投資を通じて、私たちが消費するエネルギーをもっとクリーンにし、持続可能なものにしなければなりません:(1)インフラ、(2)規制枠組み、(3)ガバナンス構造。

エネルギー消費は世界的にも急速に拡大しており、取り戻しがつかないところまで気候変動が進行してしまう前に、これらの取り組みを加速する必要があります。

一方で、コストを許容範囲内で維持し、供給の安全を確保しなければなりません。

よりクリーンで、持続可能性に優れたエネルギーは、不安定かつ割高となる場合がある

エネルギー転換の複雑性

上の図表は、エネルギー転換の複雑性を示しています。一般的な統計では、燃料、国、産業セクター別のデータが提供されています。

しかし、産業のバリューチェーンは国境を超える場合もあり、燃料の利用は様々であり、同じ産業セクター内でも複数の燃料が利用されています。

エネルギー転換が核心的に意味するのは、エネルギー利用をよりクリーンでかつ持続可能なものにする投資、規制、慣習の変化であると、AMPキャピタルでは考えています。

エネルギー転換において問題となるのは、(供給元とエネルギー源の性質が変化することによる)供給の安全性と(移行を可能にする投資が必要となるため)アフォーダビリティが損なわれるという点です。

AMPキャピタルにおいて、ESG分析は企業評価における重要な要素となっています。

供給安全から環境問題へ

1973年のオイルショックを受けて、西洋経済が供給の安全性向上を目指し、石油に依存したエネルギー体制からの脱却を図ったことがエネルギー転換の発端です。その後1990年代には、エネルギー転換に気候変動対応の目標が組み入れられ、2000年代には主要な目標が気候変動に置き換えられ、持続可能性も盛り込まれるようになりました2

今日、エネルギー転換の目標は大きく2つの分類されます:

  • 排出を削減し、気候変動に取り組む
  • 省エネ、企業における排出削減を通じて長期的な燃料コストの抑制に寄与

これまでのところ、エネルギー転換が進行しているのは主に発電セクターです3。これは、取り組みが容易な分野として、排出が大規模な大手企業にフォーカスが置かれてきたためです。これにより、従来の発電方法や電化製品や通信の電源が一部変化し、大型機械やプロセスの運営方法が変わったのです。

今後においては、温度調節(暖房/冷房/産業)や機器の動作(運輸、工業プロセス、家庭用品)といった分野への取り組みが必要である一方、燃料コストのアフォーダビリティは維持しなくてはなりません。

 

エネルギーの基盤:インフラストラクチャー

化石燃料は、採集と処理を経て輸送されます。ここで必要となるのがパイプラインや鉄道、港湾、道路といったインフラであり、これらは全て、AMPキャピタルが投資を行っている分野です。

電力は送配電網に依存しており、今日では通信網を活用したスマート化が図られています。これらも当社が投資する分野です。

最後に、エネルギー効率は大部分が不動産投資に依存しており、これもAMPキャピタルの別チームが投資運用を担当するセクターです。

つまり、AMPキャピタルは、投資家として、エネルギー効率と関連する課題や投資機会に注目しています。

 

それは、正しい行動だから

AMPキャピタルにおいて、ESG分析は企業評価の重要な部分を占めています。中でも、環境問題を含むエネルギー転換は主要な要素であり、ガバナンスや規制、ソーシャル・ライセンス・トゥ・オペレート(地域社会への貢献を通じて社会的な営業許可を得ること)の面にも影響を及ぼすものです。

そして、単純に正しい行動を起こしたいのです。

1. https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/2018/02/ipcc_wg3_ar5_chapter10.pdf
2. https://alternativeenergy.procon.org/historical-timeline/#1951-1999
3. https://www.iea.org/articles/energy-transitions-indicators

この続きは、PDFでご覧ください。

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