足元で経済と金融市場を左右しているのは新型コロナウイルス感染の拡大ですが、このコロナ危機の収束とともに、注視すべき重要なイベントは、11月3日に予定されている米国大統領選挙です。
1か月前であれば、トランプ大統領の再選が最も可能性の高いシナリオでしたあが、状況はその後変化しています。コロナ危機を背景とした経済活動の中断や原油価格の下落により、米国は6-9月期にリセッション入りすると見られています。
外出規制を受けて、過去50年で最低水準にあった失業率は最低でも10%近くまで上昇する見通しで、消費は後退し、企業は解雇や雇用の延期を迫られることになります。米国経済は、11月の大統領選挙までにはリセッションから脱出していると見込んでいますが、米国経済にはコロナ危機から受けたダメージの余波が残るでしょう。
米国の景気後退とその長引く影響は、トランプ大統領再選における大きなリスクです。リセッション局面では、現大統領は再選しない傾向にあり、過去を見ても再選したケースは僅か3回(1900年のウィリアム・マッキンリー氏、1904年テディ・ルーズベルト氏、1924年カルビン・クーリッジ氏)のみとなっています。
従って、トランプ大統領再選の確率は大きく低下しています。新型コロナウイルス感染を(2-3か月という極めて可能性が低い)短期間で封じ込める事が出来なければ、トランプ大統領の再選は難しいと言えます。

もう一つの問題は、新型コロナウイルス感染者の増加とともに米国の医療制度に圧力がかかり、同件についてトランプ大統領に対する責任追及の動きが広まる可能性です。大規模な財政刺激策や家計への現金給付は、経済の更なる悪化を防ぐにあたり有効であるものの、リセッション入りを回避するまでには至らないでしょう。
投資家の注目は、コロナ危機を背景とした市場へのリスクであり、この状況は今後数か月に渡って継続するとみられます。(現在感染が大きく拡大している欧州や米国において)新型コロナウイルス感染がピークを越えたという兆候がなければ、株式市場の底が見えない状況が続くでしょう。
民主党候補者として金融市場が選好するのは、課税引き上げと規制強化を唱える社会主義者のサンダース氏ではなく、バイデン氏の方です。とはいえ、バイデン氏はトランプ大統領よりも左派寄りであることから、バイデン氏が大統領選挙に勝利するとなれば、投資家はダウンサイドのリスクを考える必要がありますが、サンダース氏が大統領となるシナリオと比較すると、それほど大きな問題ではありません。
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