経済&マーケット

リベンジ消費に注目

By ディアナ・ムシーナ
インベストメント・ストラテジー&ダイナミック・マーケッツ、シニア・エコノミスト 豪州、シドニー

世界で最初に新型コロナウイルス感染が広まり、封じ込めに成功した中国の状況は、今後の展開を見る上での物差しとなります。シャットダウン措置によって積みあがった需要が出口を見つけ、個人消費拡大のサインが確認されている点は朗報と言えます。

 

リベンジ消費とは

そもそもリベンジ消費(revenge buying)とは、1976年、中国の文化大革命終息後に起きた消費ブームを表現する言葉です。足元では、コロナ危機シャットダウン後の消費拡大を表す用語として使われています。

 

リベンジ消費が意味するもの

個人消費は、中国2019年GDPの60%近くを占めており、その他先進国経済に大きく寄与する要素であり、注目すべき指標です。

ショッピング・センターの営業再開を含むシャットダウン措置の緩和によって、中国では個人消費が拡大しています。一部では、高級ブランドのハンドバッグや靴など、財布の紐を緩めている消費者の姿が確認されています。広州市に位置するエルメスのフラッグシップ店舗では、営業再開初日に270万米ドルの売上を記録したと報じられています1。これは、中国における高級ブランド店舗の1日の売上で過去最高となります。

世界の高級ブランド市場において中国人消費者が占める割合は約33%2、金額にして1,200億米ドル相当に達します。これら中国人消費者層は、2025年までに同41%、1,730-1,830億米ドル規模へと拡大する見通しです。

ここで覚えておきたいのは、ロックダウン期間中に消費が縮小した理由は節約志向やお金がない事だけでなく、単純に消費が不可能であったという点です。国内経済の再開は、積み上がった需要が放出されることを意味します。

 

成長へのリスク

中国における小売売上の戻りは朗報である一方、客足は全般的に軟調であり、コロナ危機以前の水準を下回っています。その他先進国でも同様の進展が見込まれるとはいえ、コロナ危機以前の水準に戻るには時間がかかる模様です。

中国に関して言えば、産業生産活動のペースが加速している様子ですが、米国など主要な貿易相手国では感染封じ込めに至っておらず、失業率も高い水準となっていることから、、輸出は軟調が継続する可能性があります。ポジティブな内容のデータが出ているとはいえ、持続可能な消費需要の拡大の観点からは、中国はまだ回復初期にあると言えます。

貿易を巡る緊張の高まりも、注視すべきポイントです。昨年の米中貿易戦争は株式市場に大きな影響を与えており、その影響力の大きさからも引き続き注意が必要です。

また、経済再開に向けた取り組みが進む国全てにおいて、感染第2波はリスクであり、景気回復見通しに影響を及ぼすものです。当社のモニタリング結果では、再び感染拡大が確認されているのはイランのみです。

 

 

1 ブルームバーグ、WWDファッション、https://www.bloomberg.com/opinion/articles/2020-04-17/for-bernard-arnault-s-lvmh-it-s-too-early-to-open-the-champagnehttps://wwd.com/fashion-news/fashion-scoops/hermes-hauled-in-2-7-million-in-one-china-store-on-saturday-sources-1203559738/
2 ベイン&カンパニー、What’s Powering China’s Market for Luxury Goods?、2019年
3 ボストン・コンサルティング・グループ&テンセント、China Luxury Digital Playbook、2019年6月

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インベストメント・ストラテジー&ダイナミック・マーケッツ、シニア・エコノミスト ディアナ・ムシーナ

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