投資戦略

コロナ危機において企業が直面している課題4つ

By アンディ・ガードナー
グローバル株式、インベストメント・マネージャー 豪州、シドニー

史上最も激しい50日間のラリーを理解するには、大規模な政策行動の観点から考える必要があり、これは企業にとって大きな課題です。

新型コロナ危機のピーク時、米連邦準備制度理事会(FRB)は1秒当たり100万米ドルを超える規模の資産購入を実施していました。この規模と同じく重要となるのが、流動性を提供するタイミングです。景気後退局面における政策措置の中で最もスピードの速い実施となった今回の刺激策1は、人々を驚かせました。

このラリーを、経済や企業業績の悪化に紐づけるのは困難です。新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済と事業への打撃は大規模であり、持続可能な需要の回復は、財政や金融政策だけでなく、ワクチンなど健康・医療面でのソリューションに左右されます。

従って、収益コンセンサスや流動性に誘発された市場価格が示唆するように、経済が駆け足で新型コロナ危機以前の水準に戻るとは考えにくいと言えます。

しかし重要な点は、全ての景気後退局面で言えるように、その影響は産業や企業間でまちまちです。ポジショニングに優れた一部の企業では、収益が今年受ける影響はほぼゼロに近くなる一方で、多くの企業は多額の損失を被り、新株予約権発行を余儀なくされたり、中には破綻に追い込まれる企業も出てくるでしょう。

 

一部のシクリカル企業にとって、最悪の事態はこれから

株価の下落幅が大きかったことからも、刺激策を受けたシクリカル銘柄のラリーは理解できますが、より持続可能なローテーションが正当化される程企業収益が持ちこたえるとは考えにくく、需要が回復した場合でも、収益性は圧迫された状態となり、借入や株式発行を通じた資本ベースの増強が必要となります。

多くの企業が直面している複雑な課題は、主に4つあります。

  • まず一つは、安全かつ経済的な営業です。例えば、労働安全衛生に関する規制やソーシャルディスタンシングを受けて、これまでと同様の効率性を現場で維持するのは困難であり、需要が回復した場合でも、収益幅に影響を及ぼす可能性があります。
  • そして、信頼性と余剰性がより重要となっていることから、弾力性のある供給配送システムの開発が必要となっており、これにはコストを伴います。
  • 一部の企業は、米国と中国を中心とした地政学面における緊張の高まりを懸念しています。これにより、既に資本利益の獲得が難しくなっている産業における設備投資計画を困難にさせています。
  • 古い経済や実店舗の事業の多くは、充実したオンライン・サービス提供の必要性を実感しています。これまでの実店舗や店舗ネットワーク運営に加え、オンライン事業の成長に取り組むことで、コスト構造は二層化し、利益幅が大きく圧縮されます。これらの事業は、デジタルネイティブな企業に比べ、コスト面で不利な運営を強いられる可能性があります。

 

選好するのはシクリカルよりも構造的なトレンドへのエクスポージャー

AMPキャピタルで選好するのは、シクリカルなエクスポージャーではなく、長期の構造的なトレンドという比較的安全な支援材料です。これは、高い収益性を誇る企業が、経済や市場環境に左右されることなく、平均を上回るキャッシュフローの成長を達成することを可能にします。

とはいえ、これらのトレンドが世界的な経済の中断から影響を受けない訳ではないものの、長期見通しは確実にポジティブが維持されると当社では考えています。成長著しいこれらの消費者市場は、今後5年からその先にかけて、経済利益全体のパイでより大きなシェアを獲得すると見ています。

コロナ危機にもかかわらず、今後も継続が見込まれる長期の構造的追い風の一例には、エンタープライズのクラウド導入、特化したバイオ医薬品、ファクトリーオートメーション(生産工程の自動化)、ペットケア、半導体チップ設計などがあります。

 

ファンダメンタルズの重要性

新型コロナウイルスの様な単発的な出来事やディスラプションに代表される大規模な行動変化は、古いトレンドと新しいトレンドのギャップを拡大するだけでなく、新しい事業モデルと古い事業モデルの間に壮大な溝を作るものです。

極めて基本的なポイントとして、この環境における勝ち組は、まず最初に足元の危機を乗り越え、そして危機後には繁栄し回復局面の到来とともに利益を確実に享受する事が必要です。

  • 危機を乗り越えるにあたり重要となるのは、強靭なバランスシートです。需要が先細る厳しい環境下において、資金の枯渇を回避するためには、ある程度のキャッシュフローを創出する必要があります。このリスクが高いのは、リターンが低く、レバレッジが高い企業であると当社では考えています。中でも、商品やサービスに対する需要が裁量的でシクリカルなものほど、このリスクへのエクスポージャーが高いと言えます。当社では、サイクルを通じてこのような企業への投資は避けており、安定した消費市場と力強い顧客関係を有する企業を先行します。
  • 次なる成功へのレシピは、企業がより長期に渡り繁栄できる力です。つまり、フォーカスすべきは、経済成長がつまづく局面においても、キャッシュフロー成長の機会を有する企業です。これら企業は景気敏感性が低く、成長と事業モデルの観点から産業トレンドの追い風を受けることから、長期で経済シェアを拡大する可能性に優れています。

銘柄選択は常に重要ですが、現在はその重要性がより高くなっていると言えるでしょう。第2に重要なポイントとして、優れたトレンドと事業モデルに潜んだ価値を引き出す力を秘めた企業において、そのファンダメンタルズが力を発揮するに十分な長期目線での投資にフォーカスする事が必要であると、当社では考えています。

短期的な予想を命中させることは不可能であり、投資家をひどく混乱させます。短期で市場を動かすのは投機筋であり、ファンダメンタルズ(収益、配当、キャッシュフローなど)とは無関係であることを今までにも目にしてきているのはご存じの通りです。この様な環境で優勢を確保するのは困難です。

一方、長期では様相が大きく異なります。長期の株主トータルリターンを主に左右するのは、ファンダメンタルズの変化であると、AMPキャピタルでは考えます。10年を超える期間のトータルリターンにおいて、その80%-110%はファンダメンタルズに起因するものであり、バリュエーションの変化ではありません。

投資を長期で考えると、図式はより鮮明となります。短期的なボラティリティを見越し、平均的な投資家よりも長期で価値を評価する事ができる投資家は、有利なポジションを確保することが可能です。

AMPキャピタルにおけるフォーカスは、キャッシュフローの安定性に優れ、かつ極めて長期に渡って平均を上回る魅力的なキャッシュフロー成長を達成することができる企業です。この考えは、良好な環境だけでなく、厳しい環境下においても、有益な結果をもたらしています。

 

1 米連邦準備制度理事会、Monetary Policy Report –June 2020

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