ここ数か月における目まぐるしい市場の変化のひとつは、豪ドルの上昇です。新型コロナウイルス感染がピークを打った3月、1豪ドル0.55米ドルで過去最低を記録した後、豪ドルは20%超の上昇を記録しています。
株式市場がと豪ドルが同時のタイミングで底値を打った後、回復を見せたのは偶然ではありません。
通貨の上昇は経済ニュースの回復を反映している
豪ドルはプロシクリカルな資源通貨であり、世界経済に関する良いニュースや株式市場の支援材料が多く出始める局面で上昇する傾向にあります。ここ数か月における豪ドル動向は、まさしくこの動きをしています。
豪州は新型コロナウイルス感染の封じ込めにおいて他国を上回る結果を出しており、約30年ぶりにリセッション入りしたにも関わらず、豪州経済が他国をアウトパフォームすると考えられている点も、豪ドルの上昇に寄与しています。
豪ドルの上昇はピークを打ったのか?
現在の環境下において、豪ドルが1豪ドル0.70米ドルを超えて上昇するとは考えにくく、0.65-0.70米ドルのレンジに留まる可能性が高いでしょう。
豪ドルにとって最大のマイナス要因は、新型コロナウイルスというパンデミックに対して敏感であるという点です。感染の第2波が豪州や世界で広まった場合、経済が打撃を受けるのはもちろんのこと、豪ドルもしかりです。
また、資源通貨であることから、貿易を巡る米中関係の緊張激化に関連したリスクも存在します。
豪州国内のリスク
1豪ドル0.70米ドルを超える豪ドルの上昇を拒む要因も幾つかあります。コロナ危機を他国よりも上手く乗り切っているとはいえ、景気後退が進むとともに、事業の閉鎖を背景とした打撃は莫大となる見通しです。
また、連邦政府による「ジョブキーパー」給与補助金制度や「ジョブシーカー」求職失業者援助金制度が9月で終了する事からの影響もまだ不明であり、前倒しとなる可能性もあります。これらは、コロナ危機対策として打ち出された措置であり、雇用維持を目的とするジョブキーパー制度では従業員1名当たり1,500豪ドルが隔週で支払われ、求職中の失業者を補助するジョブシーカー制度では、旧制度の補助金を一時的に倍増し、対象者1名当たり1,100豪ドルが隔週で支払われます。
上昇する豪ドル、弱含む経済
豪ドルが1豪ドル0.70米ドルを超えて上昇する場合、輸出からの収益が減少するため、豪州経済の成長にとって悪いニュースです。1豪ドル0.70米ドルを超える水準が一定期間維持される場合には、豪州準備銀行が市場に介入し、量的緩和による豪ドルの引き下げを試みるであろうと、当社では考えています。
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