2019年の見通しでは、ディフェンシブな株式アロケーションとして上場不動産を活用する投資家にとって、その重要性が高まるという話をしました。2020年に突入した今、状況が少し変化しています。豪州では政策金利の引き下げが続き、豪州準備銀行(RBA)が更なる追加利下げの可能性を示唆、非伝統的な政策に対する懸念が高まる中で、投資家はデュレーション、インカム、低ボラティリティを追求するようになりました。米中貿易摩擦や香港のデモ、2020年11月に迫った米国大統領選挙を中心に、世界的な地政学面の課題が残っています。これらを考慮すると、需給のファンダメンタルズが好調で、緩和政策が資本コストのサポートとなっている上場不動産は、今年も魅力的な資産クラスとなるでしょう。
より多くの投資家が、長期的な構造上のトレンドやオルタナティブな不動産セクターへと資金を投入しています。データ利用の爆発的な増加、生鮮食品の成長、eコマース、デモグラフィクス等は、2020年に注目が集まる分野だと見ています。
生鮮食品の成長の背景にあるのは、消費者と政府が健康なライフスタイルを求める世界的な流れであり、人々の食生活はより健康なものになっています。このトレンドが支えるのは、日持ちのしない食品の貯蔵、管理、配送を手掛ける、新しいREITセクター「冷蔵事業」です。生鮮食品は必要品であり、世界人口も増加していることから、安定したキャッシュフローと景気後退時における打たれ強さが魅力です。
デモグラフィクスの面では、ジェネレーションY世代がベビーブーマー世代を追い越して最大の世代になりつつあります。1997年から2012年に生まれたジェネレーションZ世代は米国人口の20%近くを占めており、2034年には米国最大の世代となる見通しです1。データ利用や5G、eコマースの普及、住宅など、消費習慣の変化の観点から見て、これは多くのセクターにとって極めて興味深いダイナミクスです。中でも大きな影響を受けるのは、比較的新しいREITセクターであるシングルファミリー向け住宅(一世帯住宅)です。ベビーブーマー世代の退職が進み、売りに出される住宅の供給は、柔軟性と賃貸を好むジェネレーションY世代とZ世代による購入需要を上回ると見られています。シングルファミリー向け住宅は賃貸市場の40%を占めていますが、1500万件程度あるユニットのうち機関投資家が保有するのは2%未満であり2、機関投資家が市場に出回る住宅の僅かを取得するだけでも、同資産クラスが爆発的に成長する可能性があります。
ベビーブーマー世代の退職者の増加とともに、ライフスタイルの変化に伴った商品やサービス需要の拡大という長期トレンドがゆっくりと進行する見通しです。加齢とともに拡大するのは、ヘルスケアサービスの需要です。人口の高齢化に伴って、既存のヘルスケア・インフラの負担が増加することから、高クオリティのヘルスケア施設を有する不動産オーナーにとっては力強い長期の追い風が吹くでしょう。
1 モルガン・スタンレー、米国国勢調査局
2 米国住宅調査、AMPキャピタル
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