環境・社会・ガバナンス(ESG)

成長率400%:ファストファッションに減速の兆しなし

ファストファッションが社会そして環境に与える負荷

ファッションは実入りの良い産業です。世界で1年間に消費される衣類は約800億点といわれており、過去20年で約400%増を記録しています1。そして、この伸びはとどまるところを知りません。

「ファストファッション」のトレンドは、残念なことに、原材料から加工、輸送、マーケティング、消費、処分という衣類のライフサイクルを通じて、社会そして環境面で大きな懸念を生み出しています。投資家は、ファストファッション企業とのエンゲージメントにおいて、その方針やアクションの実行に注意を払う必要があります。

ファストファッション業界における重要な問題は水利用で、今後悪化を辿る一方であると予想されます。国連教育科学文化機関(UNESCO)の水教育機関の推定では、Tシャツ1枚のウォーターフットプリントは2,720リットルにも及びます2。生産過程におけるブリーチ、色染め、最終加工では大量の水だけでなく、人や環境に有害な化学品が使われています。

もう一つの大きな問題は衣類の処分です。一度着ただけで衣類を処分したことがある豪州国民は24%に上ります3。豪州では、10分毎に約6,000㎏のファッション衣類や繊維が廃棄処分されています4。この多くはごみ処理地に埋立され、数十年に渡る分解過程で有害なメタンガスを排出しています。

素材にもよりますが、衣類の保管や洗濯も環境に影響を与えています。ポリエステルやナイロンなどの合成ポリマーは、使い捨てプラスチックボトルを同じ原料が使われています。これらを洗濯することで出るマイクロファイバーのごみは、通常海へと流れ込みます。最近の調査によると、海には1平方メートル当たり830万個のミニ・マイクロプラスチックが浮遊していると言われています5。そして、合成繊維の衣類が洗濯されるたびに、海洋ごみ汚染が悪化するのです。海洋生物がこれらマイクロプラスチックを食べることで、最終的に我々の食物連鎖に入り込んでいます。

環境面の懸念は、一つの側面でしかありません。これ以外にも、人権侵害、危険な工場作業環境、賃金の過小払いは、ファッション業界のサプライチェーンを通じて発生しています。

より多くの企業が、自社オペレーションの影響に関する説明責任を持ち、これらの問題が適切に管理されなければ、財務面や運営だけでなく、風評という大きな影響を及ぼすリスクとなることを理解し始めています。

AMPキャピタルでは、ファッション企業に対して以下の取り組みを推奨しています:

  • 取引先工場の一覧を公表する
  • サプライチェーンを合併し、他社バイヤーとコラボレーションすることで、サプライヤーに対する影響力と監視を強化する
  • 環境面と社会面へのマイナスの影響を低減するために、目標を設定し、経営陣の報酬と紐づける
  • 取締役会と経営層に対するサプライヤーとエシカルな調達に関する報告を強化する
  • 環境製品安全衛生管理システムの外部認証を取得する
  • 衣類のアップサイクルや再利用、サステイナブルな素材の利用を促進するイニシアチブを導入する
  • 事業が社会そして環境に与える影響に関して、透明性のある報告を行う

現代奴隷法に基づいて、複数の地域では報告義務の導入が図られた点も、ファッション企業にとってはサプライチェーン上における人権侵害リスクの低減や、社会・環境面での侵害の調査を行う良い機会となっています。

ひとつひとつの衣類、そしてサプライチェーンには、それぞれ独特の社会・環境リスクが潜んでいます。投資家は、企業がこれら懸念にどう対応しているのか、詳細なアドバイス求めることで理解を深めることが重要です。

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