インフラストラクチャー

インフラデット:2020年を振り返る

新型コロナウイルスの様な危機局面において、インフラ投資が魅力的である理由とは?

一般的に、インフラとは社会においてしばしば必要不可欠なサービスを提供する構造物やネットワークを指し、運輸・エネルギー・公益・通信という4つの主なカテゴリーに分類されます。これらカテゴリーは、それぞれ景気循環性の異なる資産、つまりGDPとの相関が異なるキャッシュフローを持つ資産によって構成されています。運輸セクターの資産はコロナ危機から打撃を受けていますが、これは主に外出禁止令や行動制限、外出自粛からの影響によるものです。

これらのカテゴリーの中で、ディフェンシブなポジションの獲得を望む投資家が選好するのは、高い参入障壁、規制環境、予見性に優れたキャッシュフロー、業界内の強靭なポジションといった特性を有するインフラ投資です。これら特性が確認できる投資であれば、市場低迷時における事業への影響が少ない事に対する一定の信頼感を得る事ができます。また、伝統資産である上場株式や債券よりもGDPとの相関性が低いため、インフラへのアロケーションをポートフォリオ加えることで、優れた分散効果を得る事が可能です。この様な特徴から、インフラは近年、魅力的な資産クラスとして注目を集めています。

 

移動制限を背景に運輸セクターが大きな打撃を受けているのに対し、契約や規制環境によって守られている公益セクターは影響を受けにくくなっており、通信セクターはEコマースや在宅勤務の普及を背景とした需要増加の恩恵を受けています。エネルギー・セクターのパフォーマンスはどうでしたか?

運輸、貿易、経済活動が減速したことで、世界のエネルギー需給パターンに著しい影響が及びました。AMPキャピタルでは、一般的に、発電やミッドストリームのサブセクターに注目して投資を行っています。エネルギー・インフラは必要不可欠なものであり、当社では、長期に渡るテイクオアペイ契約や固定価格でのPPA(電力購入契約)に基づく収入源に裏打ちされたインフラ資産への投資を模索します。この様な戦略をとることで、当社の投資先資産では、電力卸価格のボラティリティに対するプロテクションが確保され、コロナ禍においてもまずまずのパフォーマンスとなっています。

エネルギー・セクターでは引き続き、投資妙味に優れるプロジェクトが確認されています。これは主に、再生可能エネルギーへのシフトという長期の構造変化を受けたもので、エネルギー・セクターへのアロケーションは今後もポートフォリオの重要な一部となるでしょう。

 

足元の環境下において、インフラ投資の中でもインフラデットを検討する理由とは?

インフラデットとインフラエクイティの戦略では、景気の影響を受けにくいディフェンシブ性と安定したキャッシュフローなど、類似する特徴を持った資産を投資対象とするケースが多々あります。インフラエクイティ戦略とは異なるインフラデットの特徴は、資本構成のより上位の部分に投資をすることで安定したキャッシュイールドを確保する代わりに、目標リターンが若干低めになる点です。

この理由から、インフラデット投資は、インフラエクイティよりもボラティリティが低い傾向にあり、ポートフォリオにより優れたディフェンシブ性を提供してくれます。世界経済が後退し、企業デフォルトが増加する局面においても一貫したリターンを創出することができるのは、このディフェンシブ性によるものだと考えます。

 

低金利環境によるインフラデット市場への影響とはどの様なものでしょうか?

近年では、プライベートデット市場への投資を模索する機関投資家の数が大幅に増加しています。これら投資家の多くは、非流動性プレミアムの獲得が可能である以外に、その他リスクは債券と類似するプライベートデットを、債券に替わる魅力的な投資先として位置付けています。インフラデット投資においても、この様な非流動性プレミアムの獲得が可能であり、投資先資産の安定性を背景に、優れたリスク調整後リターンが期待できます。

超低金利環境が継続し、国債や社債の利回りが低水準で取引される中で、優れたイールドとリスク調整後リターンを提供するインフラデットは、引き続き魅力的な投資先として注目されるでしょう。

 

世界各国で打ち出されている財政刺激策の目玉としてインフラ投資に注目が集まりそうですが、今後予想される新しいダイナミクスとは?

コロナ禍の打撃から世界経済が回復するとともに、財政刺激プログラムの一環として実施されるインフラプロジェクトは、よりESGフォーカスが高いものとなると予想しています。サステイナビリティ投資のメリットが幅広く認識されるようになっていますが、AMPキャピタルの投資プロセスでも、長年にわたり重要な部分に位置付けられています。これは、ESG要因を検討することで、投資先の長期パフォーマンスや風評に関するリスクやオポチュニティについて、より深い理解が得ることが出来るからです。

これを機に、新しい世代のグリーンインフラに取り組む国も複数登場すると予想しています。例えば、再生可能エネルギーや持続可能な輸送といった分野でのプロジェクトや、従来のプロジェクトでもサステイナブルな設計や建設手法を取り入れているプロジェクトなどです。

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インフラストラクチャー・デット部門アソシエイト・ディレクター ジャイルス・グレイ

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