コロナ危機の影響は企業間で大きく異なると考えられることから、AMPキャピタルでは、景気サイクルに影響を受けにくい長期の構造的トレンドに基づいた投資機会の発掘を続けています。
現状
各国の政府や中央銀行からは大規模な財政・金融支援策が早期から打ち出されていますが、コロナ危機を背景としたサプライチェーンの中断や事業や個人需要の大幅な後退、信頼感の大きな低下から、短期的な経済成長の道筋は大きく変化する見通しです。
効果的な経済・金利政策が最終的な回復を支援することは間違いありませんが、需要回復のタイミングはまだ不透明であり、ワクチン開発や集団免疫の獲得、そして感染抑制から感染回避への移行状況次第となるでしょう。ワクチン開発や集団免疫の獲得には1年以上かかるとみられる一方で、抑制から回避への移行は、十分な検査を条件に、早期のロックダウン緩和や休業再開の可能性が出ています。
企業が異なれば、結果も異なる
現時点では、株価が底を打ったのかは不明確であり、短期見通しも不透明です。政策支援が助けとなるものの、企業の大半は価値創造と経済利益の創出に悪戦苦闘することになると、AMPキャピタルでは考えています。とはいえ、全ての景気後退局面で言える通り、影響の度合いは企業間で異なってきます。コロナ危機を比較的上手く切り抜ける企業もいれば、廃れていく企業もあるでしょう。
持続可能な財務基盤、高い収益性、持続力のある競争優位性、シクリカルな需要が少ない、手堅い長期成長見通しは、企業がこの先の厳しい環境で生き残るだけでなく、やがて到来する回復から利益を獲得し、繁栄するために必要な要素です。
この点で当社が注目する企業をサポートする中長期の構造的トレンドは力強さを維持しており、これらの企業が提供する商品やサービスが裁量消費寄りではない点も変わっていません。その2次的・3次的な影響を予測するのは困難ですが、コロナ危機は構造的トレンドやプロフィットプールの変化を加速させるものであると当社では考えています。
コロナ危機に関連するトレンドの中で、私たちに恩恵をもたらすものには、次が含まれます:
- 実店舗からオンラインへのシフト
- リモートワークとデジタル経済
- ヘルスケア制度における生産性とイノベーション、あらゆるモノのスマート化(インフラ、建物、家、安全、エネルギー、モビリティ)
- ソフトウエア中心のクラウド型IT支出(従来のハードウエア中心の社内設置型からの移行)
- 現金決済から電子決済技術への移行
- 低分子量医薬品への投資が減少し、集中型バイオ医薬品への投資が増加
- 工場の自動化
これらの多くは、別紙ホワイトペーパー「2020年代のテクノロジー」で詳しく取り上げています。
不透明感が高まっているのは間違いありません。しかし、AMPキャピタルでは、新規または既存の魅力ある投資アイデアへの資金投入に関して楽観的な見方を維持しています。キャッシュフローの効率良い分散と企業ファンダメンタルズこそが、長期の成功における鍵であると信じています。