不動産

小売不動産:変わりゆくショッピング体験

By マーク・カークランド
不動産ショッピング・センター部門、マネージング・ディレクター 豪州、シドニー

高級ショップは、顧客エクスペリエンス(体験)に対する高い意識を常に持ち続けてきた小売業態です。足元では新たな消費者層が登場しており、ラグジュアリー系やエンターテインメント、サービス業を手掛かりに、ショッピング・センターが大きく変化しています。

ジェネレーションZ(Z世代)と呼ばれるこの新たな消費者層は、ミレニアルに次ぐ、1990年代後半から2000年代にかけて生まれた世代です。彼らは、携帯電話やインターネット、ソーシャルメディアと共にデジタル時代に育ってきた「デジタルネイティブ」ですが、彼らの消費行動は興味深く、ショッピング・センターを最も好む世代であることが新しいリサーチから明らかになっています1

買い物のほとんどをオンラインで済ませるミレニアル世代とは対照的に、Z世代は10人のうち9人が実店舗での買い物を選好します2。これは、商品に実際に触れて感じる事を好み、素晴らしい顧客サービスを求めるためであり、彼らは買い物を「体験」と捉えています。

ジェネレーションZの購買力は、平均するとその半分がお小遣いから来ているのが現状ですが、僅か6年後には自立する見通し1で、今そして近い将来における重要な顧客層です。

不動産オーナーやまちづくり関係者にとって、これらは全て胸踊るニュースであり、ショッピング・センターにも大きな変革をもたらしています。

米国で近頃開催されたICSC(国際ショッピングセンター協会)主催のREConにおいて、この変化は紛れもなく明らかでした。不動産オーナーは、自身の事業は小売ではなくサービス・エンターテインメント事業だと述べています。中でも、米国大手に関しては、世界有数のホテルから顧客サービスのアイデアを、そして人気のテーマパークから顧客エクスペリアンスの発想を獲得していると語っています。この「テーマパーク思考」は、多様な施設・設備と小売が集結する新しいネイバーフッド型ショッピング・センターにおいて、注目を集めています。

核心にあるのはコミュニティ

今日のショッピング・センター開発で注力されているのは、人々が集う新たなコミュニティ・スペースの設置と、ネットショッピングでは体験できないエクスペリエンスや「リアルさ」の提供です。こういった新しい充実した体験と施設・設備の提供が、地元商業施設の未来の姿を形成していると言えます。

AMPキャピタルが開発を手掛ける際に検討するのは、コミュニティのために何を活性化できるのかという点です。自然なコミュニティの活性化を促進するきっかけづくりや、店舗スペースを越えた共有スペースにおけるブランド支援に向けて、何ができるのかを考えます。

豪州で最も成長著しいのはここ数年拡大基調にある飲食スペースで、エンターテインメントと娯楽がこれを追っています。当社では、大規模な飲食スペースを持つショッピング・センターをシドニーで開発中であり、マイクロブルワリー(クラフトビール醸造所)、セレブシェフや食の匠といったコンセプトを提供する、世界のベストプラクティスを組み入れたフードコートが誕生します。

来客獲得における最大のドライバーとしてのエクスペリエンスやサービスは、急スピードで劇的に変化しているのです。

当社が運営管理するショッピング・センターのひとつでは、図書館を設置しています。同図書館の来客数は年間50万人、この図書館が位置するプレイエリアの来客数は1週間当たり1万人を超えます。こういった公共スペースは、人々のつながりやコミュニティ意識を高める上で極めて重要なものであり、人々が足を運ぶ大きな理由のひとつとなっています。

また、ショッピング・センターで開催するイベントも好評を得ています。これらイベントで注力するのは、買物客それぞれが共感できるオムニチャンネルの体験で、イベント前後における告知やフォロー、そして人気ブロガーによる当日の司会など、オンラインの要素を多く含みます。

中でも、有名シェフを招いた料理教室や地元デザイナーによるスタイリングなど、消費者との距離が近いイベントは、主力の催し物です。シニア層向けのPC教室や、休校期間中の子供向けロボット教室も人気の高いイベントとなっています。冬季のアイススケート、ポップアップ型ミュージアム「シュガー・リパブリック」の様なインスタ映えするイベントの開催は、異なる顧客層とのつながりを確立し、来場への新しい動機を提供するチャンスなのです。イベントの内容は異なってもフォーカスするポイントは同じ:顧客の興味を探り、それを支援する事です。

目的が購入につながるとき

最も興味深いのは、モノを買わない消費者が増えている点ではないでしょうか。彼らが求めるのは体験であり、目的意識やリアルさを持つブランドを好みます。

「リアルさ」とは、真正、本物であることです。当社のショッピング・センターにおいてこれは、顧客とコミュニティを理解し、共感を呼ぶ場所づくりや経験を提供することだと考えています。

この考えに基づいて、AMPキャピタルでは、所有・運営を手掛ける全てのショッピング・センターごとに、社会投資計画を策定しています。顧客の間では、カスタマイズやパーソナライズを求める傾向が高まっていることからも、コミュニティのニーズ、欲求、願望に関する深い洞察力を持つ事で、場所や商品、イベントを通じた意義なつながりを育む事が重要だと考えます。

私たちの間では、市民としての社会意識、健康意識、環境意識が以前よりも高まっていると当社では見ています。つまり、消費者としては、社会や環境面において高い責任意識を持ち、コミュニティへ還元・貢献するブランドや場所を好むようになっているのです。

成長への道すじ

当初、ネットと実店舗の共食いという懸念が先行していたものの、実際には、ネットからリアル店舗へと拡大する企業の成功例が数多く見られるようになってきました。

米国を例に取ると、ネット創業した850店舗が今後5年間で実店舗をオープンする予定で、ポップアップ・ストアは年間800億米ドルの売上を誇る人気の出店形態となっています3

買う前に試すことを好むZ世代にとって、実店舗は商品を触って試せるという利点がある一方で、簡単に返品が可能なネットショッピングも魅力的なサービスです。オンラインとオフラインの融合による真なる価値を手にしているのは、ショールーミング(実店舗で品物を見て確認した後に、自宅からネット通販を通じて購入すること)を上手く活用し、オムニチャンネルを通じた包括的なエクスペリアンスを提供しているブランドです。

AMPキャピタルでは、テナント顧客の事業戦略と方向性を十分に理解し、現在そして今後のニーズに合致したアプローチをカスタマイズすることで、テナントそれぞれの事業の成長を最も有効な方法で支援しています。新たなトレンドを特定し、そのベストな組み入れ方法を理解することで、斬新かつ関連性の高いダイナミックな小売ミックス(店舗活動)をサポートしています。

1 クオンタム・リサーチ、「Research Trends Reporting」、2019年
2 ハーバード・ビジネス・レビュー、「A Study of 46,000 Shoppers Shows That Omnichannel Retailing Works」、2017年
3 フォーブス、「50 Retail Innovation Stats That Prove The Power Of Customer Experience」、2019年

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