国連持続可能な開発目標(SDGs)を2030年までに達成するにあたり、資金調達という課題に直面する中で、どの様な投資行動や戦略が活用されているのでしょうか?
断固たる行動を通じて最も喫緊なグローバル問題を解決しようとするSDGは、世界最良の計画とも呼ばれています。この壮大なミッションを達成するには、2030年までに年間5-7兆米ドルの投資が必要とされており、サステイナブル投資の世界的な躍進におけるカタリストとなっています。
サステイナブル投資に対する投資家需要はここ数年で急速に拡大していますが、その様相は地域間で大きく異なります。
投資家需要が高まる5つの分野
ずさんなESG管理がダウンサイドのリスクとなり、長引くパフォーマンス不調の引き金となっている様子を投資家は目にしています。ポートフォリオの価値保全そして投資機会の発掘において、ESG事項の検討が不可欠であるという認識が投資家の間で広まっています。
AMPキャピタルでは、次の5つの分野において、サステイナブル投資に対する投資家需要を確認しています。それは、ネガティブ・スクリーニング、総体的なESGの組み入れ、エンゲージメントと説明責任、報告、テーマ型投資&インパクト投資です。
倫理的理由に基づくシンプルなネガティブスクリーニングは、その登場からすでに数十年が経過しています。しかし足元では、スクリーニング対象となる課題やその範囲が拡大しています。ネガティブ・スクリーニングは、ESGに対する取り組みの初期段階にある投資家が主に活用している手法です。
2つ目は、主要なESG要因が投資リスクとオポチュニティに与える総体的な影響と企業価値を左右する長期的な要因としての検討です。ここで検討される主な項目には、気候変動、サプライチェーンにおける現代奴隷、役員報酬やダイバーシティなどがあげられます。
第3は、企業とのエンゲージメントと企業行動に対するアカウンタビリティの要求です。長期的な変化を実現するにあたり自身の投資資金がいかにパワフルかということを、より多くのアセットオーナーが理解し始めています。非適格とみなす投資を単純に売却処分するのではなく、議決権を行使して企業との会話を持ち、株主提案を実行したり、総括的な行動や透明性を投資運用マネージャーに求める投資家が増えています。今後は、投資家だけでなく規制当局からも、議決権代理行使とエンゲージメントに関する透明性や積極的な行動がより求められるようになると予想されます。
4つ目に、財務面だけでなく非財務面の結果に関するデータの提示を要求する投資家が増加しています。これは、普及が比較的広まっているCO2排出に限ったものではありません。この分野で先行するのは欧州で、分類指針の開発を通じて非金銭的影響の報告を標準化するための指令を発行しています。持続可能な証券取引所イニシアチブや国際会計基準審議(IASB)、グローバル・インパクト投資ネットワーク(GIIN)によるインパクト測定ツールIRIS、Bアナリティクスによるインパクト投資の格付けシステムGIIRS、インパクト管理プロジェクトを通じて、金銭面と非金銭面の報告を取り纏める枠組みに対する注目が集まっています。また、非金融面の影響を示す共通のツールとして、SDGを参照する企業が増えています。
最後は、より意図的にポジティブな結果を追求する方法です。先行き不透明感が増す中で、システミックなトレンドから利益を得る事業モデルを掲げ、世界的なサステイナブル課題に対するソリューションを提供する企業は、成長を提供する魅力的な投資機会となりえます。投資家は、ダウンサイドのリスク管理や投資処分だけでなく、積極的な持続可能ソリューションへのエクスポージャーを持つ投資先を求めています。
GIINによると、インパクト投資市場は2019年4月に5,000億米ドル規模に達しています。絶対値ベースでは未だ小規模かつ断片化していますが、同市場は駆け足で着実に拡大を続けており、より多くの投資家から注目が集まっています。一方、2018年グローバル・サステイナブル投資レビューによると、サステイナビリティのテーマ型投資の運用資産総額は1兆米ドルを超えました。この背景には、ESG普及の面で欧州に出遅れていた米国が、足元でこの後れを取り戻し始めていることがあります。
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