不動産

小売セクター:次なる波への投資

By ジェームズ・メイデュー
グローバル上場不動産ヘッド 豪州、シドニー

20世紀後半の大半にかけて、最も注目された小売セクターのストーリーは、ショッピング・センターの台頭でした。先進国では、都市部から郊外住宅地に移り住む消費者の増加に合わせて小売が郊外に進出したことで、買い物革命が起きたのです。

ショッピング・センターの登場を受けて主要ショッピング街(ハイストリート)の後退を予想した人もいることでしょう。しかし、これは未だ実現しておらず、質の高い小売に関しては、進化を遂げ、多くの場合盛況を収めているのが実情です。しかしながら、この期間、これらハイストリート小売へのエクスポージャーのみを保有し、ショッピング・センターへの投資を怠った投資家は、20世紀最大の投資機会を逃していたことになります。

Eコマースが幅広く普及する今、このショッピング・センターのストーリーと同様の転機が訪れています。にもかかわらず、多くの不動産ポートフォリオは、小売セクターをオーバーウエイトするインデックスファンドに過剰投資しており、ネットショッピングという次なるブームへの投資機会を見過ごしています。

図表1:S&P/ASX200 A-REIT指数では、小売セクターのウエイトが50%近い

主要ショッピング街のケースと同様に、運営管理とポジショニング能力に優れたショッピング・センターは、繁栄を続けるかもしれません。しかし、今日の買物客のハートを捉えているのはEコマース小売であり、過去に類を見ない歴史的な規模の成長期に突入すると当社では考えています。この流れの背景にあるデモグラフィックとテクノロジーというトレンドは、長期のものであり、その影響は長きにわたって継続します。

メディアは、若者全てを「ミレニアル世代」という用語で表現する傾向にありますが、同世代の最若年層は(一部の定義によると)今や20代半ばで、最も高年層で40歳間近となっています。これらの消費者層は支出額が最も大きいグループであり、彼らの選好が小売セクターに変化をもたらしています。学生時代からインターネットやパソコンのある環境で育ってきたデジタル・ネイティブやミレニアル世代は、欲しいと思った即時に入手したいという「インスタント・グラティフィケーション」の欲求が高い傾向にあるため、現状ではEコマースに満足しておらず、オンライン小売普及における足枷となっています。この欲求の力を軽視してはいけません。米国における調査によると、顧客の半数は、購入品を即時に持ち帰りたいがためにネット購入を行わないという結果が出ています。

Eコマース事業者は、これらの傾向を十分に理解しており、一部では当日配送サービスの展開を開始しています。予想需要に合わせた在庫管理などのIT技術や、自動配送システムの現実化といった配送ロジスティクスの進化が、この欲求ギャップの解消に寄与する見込みです。オンライン小売事業者は、ウェブサイトの利便性向上に取り組んでおり、中でもカスタマーエクスペリエンス(CX)や返品のし易さといった点に注目しています。バーチャル試着やスタイリングなど、テクノロジーの進化が、商品とのふれあいや体験の新たな機会を可能にしています。これら一連のトレンドを先導するのは、ファッション小売の先導役である女性ファッションであり、総売上や賃料の上昇に寄与しています。

小売セクター成長へのエクスポージャーを正確に掴むためにファンド・マネージャーが検討すべきは、この革命の中核を成す物流ハブへの投資です。これらの多くは現在、豪州におけるオンライン小売の地理的基盤に合った、郊外と地方の間のフリンジ市場に位置しています。オーストラリア郵便公社が発行した2019年Eコマース産業レポートによると、ネットショッピング上位10位にランクインする郵便番号は、全て郊外または地方都市部のものであることが判明しています1。オンライン小売事業者は、地元店舗を超える品揃えやコスト面の競争力といったメリットの恩恵を受けていると見られ、一部では実店舗と同じスピード、そして手軽さのサービスを提供しているのです。商品受け取りまでの時間が短縮され、オンラインのエクスペリエンスがより包括的なものになるとともに、この様なサービスが都心部近郊に住むより多くの消費者に提供されるようになることからも、都市内部に位置するロジスティクス拠点は、いかなる不動産ポートフォリオにおいても価値ある投資となるでしょう。

1. オーストラリア郵便公社、「Inside Australian Online Shopping: 2019 eCommerce Industry Report」、2019年5月

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