10月1日の会合で政策金利を過去最低まで引き下げた豪州準備銀行(RBA)ですが、景気を底上げするために、どの様な手段が残されているのでしょうか?
主要な成長指標は減速傾向にある豪州景気の姿を示しており、RBAは今後、米国や欧州で近代導入されてきた様々な措置に乗り出す可能性があります。
可能性の高い措置:追加利下げ
その他の金融政策に動く前に、RBAは先ず、政策金利を可能な限り引き下げると思われます。今回の利下げで政策金利は0.75%まで下がっていますが、当社では今後あと2回の追加利下げを見込んでおり、最終的には0.25%まで引き下げると予想しています。
銀行は、預金金利をゼロ以下にしたくはありませんから、これ以上の利下げを行っても、利下げ分の転嫁は難しくなります。この理由から、0.5%または0.25%を下回る水準まで政策金利が下がることはないと考えられます。
その他の措置
量的緩和
RBAに残された選択肢のひとつが量的緩和(QE)です。株式や債券、高格付けの不動産担保証券(MBS)や社債の購入を通じて市場に資金を提供することで、銀行貸出を促進し、長期金利を低水準に抑える事が目的です。これは、ある程度の効果をもたらすでしょう。しかし、QEを導入した他国の様子を見ると、大幅な貸出増加は確認されていません。また、豪州の金利や債券利回りは既に低い水準に達しており、豪州では長期よりも短期のローンが主流となっています。
マイナス金利
もう一つの方法として、マイナス金利政策の導入を通じて銀行貸出を促すという手もあります。しかし、既にマイナス金利を導入している欧州を見ると、若干の呼び水となるものの、劇的な効果は出ていません。また、マイナス金利が銀行の金利マージンに食い込むことで、銀行の収益性が低下し、貸出が困難になるため、銀行にとってもかなりの負担となります。現実的に考えても、マイナス金利はRBAが避けたい選択肢のひとつでしょう。
財政ファイナンス
より過激なもう一つの選択肢は、RBAが紙幣の発行を通じて政府支出を支援する方法です。おそらく、こちらの方が良いオプションだと考えられますが、懸念点も存在します。これまでの歴史を振り返ると、1920年のドイツで、ハイパーインフレを引き起こしています。つまり、導入に際しては幾つかの制約が出てきます。とはいえ、中・低所得者層のみを対象とした政府資金の的確な活用など、公平な形で施策を実行することが可能となります。また、豪州経済に確実にプラスの影響を与える様な方法で実施する事もできます。
まとめ
RBAには他にも景気刺激の方法が残されていますが、最終的には、連邦政府による財政出動という起爆剤こそが最も必要とされているのではないでしょうか。
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