不動産

豪州実物不動産の最新動向

世界的な低金利環境や経済情勢を背景とした資産配分見直しの必要性を受けて、実物不動産へのアロケーションにも変化が起きています。

現状

豪州準備銀行(RBA)は、10月の会合で政策金利を25bps引き下げて、0.75%としています。

景気テコ入れに取り組んでいるのは、豪州だけではありません。その他世界の先進国も、力強さに欠ける成長や目標を下回るインフレといった難題を抱えており、中期的な解決の目途は立っていません1

ロウRBA総裁は、利下げ決定に関して、「なかなか払拭されないグローバル経済のダウンサイド(下振れ)リスクや低インフレに対応すべく、世界では低金利環境が継続し、追加金融緩和が見込まれています」と語っています。

低金利環境が継続することの影響のひとつでよく知られているのは、債券やキャッシュなど、資産の安全な逃避先として知られるの伝統資産のリターン低下です。この結果、機関投資家そして個人投資家が新たな投資先を求める中で、実物不動産に対する需要が高まっています。

主な市場動向

ここ12ヶ月における商業用不動産(CRE)のリターン平均は4.9%と、全資産クラスでトップのインカムリターンを記録しています2

また、世界の投資家はCREへのエクスポージャーを引き上げており、2012年の平均8%から、現在は同11%に達しています3。AMPキャピタルでは、今後もエクスポージャーの拡大が継続すると見込んでおり、2025年には同15%程度に達すると考えています。

金利低下によって、既にプラス成長9年目に突入している不動産のキャピタル成長サイクルは、更に長期化すると見込まれます。しかし、資本コストの低下とともに、オフィスやロジスティクスのセクターでは、今後12ヶ月にかけてイールド圧縮が見込まれる点には注意が必要です4

米コーネル大学や不動産アドバイザリー会社ホーズ・ワイルの調査5でも、似たような動向や見通しが確認されています。

全29か国、機関投資家合計208社が参加した調査「2018年アロケーション・モニター」によると、機関投資家は今後12ヶ月で不動産の目標アロケーションを平均20bps引き上げる見通しです。

また、不動産ポートフォリオの投資リターン平均を見ても、まずまずとなった2016年の8.7%から、2017年には9.2%へと改善が見られています。

これは不動産全体のリターン動向に沿った動きであると同レポートは指摘しています。2017年、経済成長のリバウンドを受けて、賃料や入居率トレンドなどファンダメンタルズが堅調さを増したことから、不動産リターンは全資産クラスと地域において上昇しています。

また、同レポートでは、リスク/リターンの観点から投資先としての魅力度を測る「コンビクション・インデックス」を使って、投資家の見方も取り上げています。4年間じりじりと下げ基調にあった不動産のコンビクション・インデックスは、4.9から5.1へと改善しています。

興味深いのは、機関投資家の92%が不動産投資を実施していると回答しているにもかからわず、投資額は目標アロケーションを90bps下回っている点です。

注目点

AMPキャピタルでは、RBAによる更なる利下げを見込んでいます。この結果、投資家が安定した長期のインカム源泉を求めるとともに、成長とイールド追求の動きは加速すると予想されます。この観点から、不動産は今後も注目すべき投資先となるでしょう。

 

1 https://www.rba.gov.au/media-releases/2019/mr-19-27.html
2 IPD/MSCIトータル・リターン・ダイジェスト、2019第2四半期
3 コーネル/ホーズ・ワイル&PwC
4 AMPキャピタル不動産リサーチ、2019年9月時点
5 https://www.hodesweill.com/research 

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