不動産

グリーンアルファ:不動産リターンを最大化する新しい方法

長期化する低金利環境において、リターンを最大化する方法の一つとして注目が集まっているのが、不動産投資におけるグリーン・アルファ戦略です。

豪州では国債利回りや銀行預金金利が2%を下回る中で、低リスクながらも、より良いリターンを獲得するのは極めて困難になっています。

グローバル経済の先行き不透明感を受けて、世界的な低金利環境は一段と定着しており、投資家は、リターンを最大化しながら、豪州の建造環境のサステイナビリティにも貢献できるグリーン・アルファ戦略に目を向け始めています。

その仕組み

不動産投資の観点から言えば、ポートフォリオ・リターンの最大化を図るために必要なのは、賃料の伸びと運営管理コストの削減です。エネルギー費用を節約して支出を抑えることは、比較的シンプルでありながらも、より高いインカム利回りを獲得する上で重要な手段です。さらには、市場事例やグリーン・ビルに関する国際研究からは、投資期間を通して長期にわたり、リターンにプラスの影響を及ぼすという事が示されています。

不動産アセットのバリュエーションやリターンを見ても、優良グリーンビルとそれ以外の間で乖離が開いており、トータルリターンで見た場合、年間最大で50bpsもの差が出ています。

MSCIグリーン不動産投資ダイジェストにおいても、NABERS(豪州建築環境格付け)の4つ星以上(最高評価は6つ星)の評価を獲得しているCBD優良オフィスビルの過去3年間のトータルリターンは13.4%であったのに対し、それ以外のCBD優良オフィスビルは同12.9%となっています。

オフィス資産におけるNABERSエネルギー評価の州別内訳、FY2018
出所:NABERS(豪州建築環境格付け)

都市別で見ると、グリーンのリターンを求める投資家にとって有望なのはメルボルン市場で、NABERS評価4~6つ星を獲得している優良オフィスビルのトータルリターンは2019年6月までの1年間で15%と、豪州で最も高くなっています。

メルボルンに次ぐ市場として注目されるのは、キャンベラです。そのトータルリターンにおける「グリーンアルファ」は、優良オフィス市場平均に対して200bpsと、豪州最高水準となっています。同市場の政府系テナントは、リース時にグリーン認証をより重要視するため、NABERS評価5つ星以上の優良オフィス不動産を持つオーナーにとっては、優れたインカムリターンの創出が可能となっています。

優良オフィス:都市別に見たグリーンのアウトパフォーマンス
出所:MSCI/IPD、AMPキャピタル不動産リサーチ

コスト削減よりも大きな観点から長期的に考えると、商業用不動産における自家消費型太陽光発電設備といったサステイナビリティの取り組みは、電力価格急騰のリスクに対する長期的なプロテクションです。この様なイニシアチブは不動産アセットにおける支出の削減に役立ちます。ここ2年で豪州の電力価格が20%超上昇している1ことを考えると、優れた競合優位性となるものです。

アセット・マネージャーがリターンの最大化を図る際に、グリーンアルファが果たす役割が大きくなっています。グリーンなビルは、優れたリターンを創出するだけでなく、システミック・リスクの低い、安定したインカムを提供します。また、インセンティブ提供とテナントの入れ替えが少ないため、ポートフォリオの空室率低下に寄与します。

環境面で持続可能性に優れたビルは、長期にわたり、経済的そして環境的利益を投資家に提供するものです。グリーンアルファは、低金利という厳しい環境下においてリターンの最大化を図るにあたり、有効なツールであるといえます。

 

1 https://www.nabers.gov.au/publications/annual-report

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