経済&マーケット

RBA、政策金利を据え置き

金利据え置き

豪州準備銀行(RBA)は、5月の政策会合でキャッシュレートを1.5%で据え置く判断を下しています。しかし、RBAは早期に政策金利を動かす可能性が高いと当社では見ています。

RBAは、2016年8月の利下げ以降、政策金利を据え置いています。

様子見の状態

豪州経済のリスクやインフレ後退、世界経済を取り巻く不透明感などを考慮し、当社では今回利下げの可能性があると見ていましたが、連邦総選挙キャンペーンの真っ只中ということもあり、金利政策の決定を政治的なものにすべきではないと、RBAは判断したのでしょう。また、取りあえずは様子見とし、景気刺激策の内容や失業率の動向を見極めたいという考えの様です。

利下げ観測

とはいえ、当社ではRBAが近いうちに利下げに動くと予想しています。豪州経済は減速が目立っており、インフレ見通しが予想以上に弱含んでいる以外にも、米中貿易戦争など、世界経済の不透明感といったリスクが存在します。

これらを総合的に勘案すると、RBAは利下げに踏み込むと予想されます。恐らく、6月の総選挙直後に利下げを実施し、年末までに1%へと引き下げるであろうと見ています。

消費支出を後押し

金利引き下げの経済効果については、過熱した議論が繰り広げられるでしょう。当社では、大きく2つの理由から、プラスの効果をもたらすと見ています。

まず最初に、消費支出を後押しすると考えられる点です。

住宅ローンを最近借りたばかりの人を想像してみてください。残高が相当額残っているにもかかわらず、シドニーとメルボルンの住宅価格は下落しており、今後について悲観的な気持ちになっていることでしょう。

しかし、金利が下がれば、ローン返済も早期に完了することが可能ですし、景況感が悪化せずに済めば、財布の紐を締めることなく、消費が維持されると考えられるからです。

これは、もちろん、RBAの利下げに合わせて銀行が住宅ローンの金利を引き下げた場合の話ですが、銀行にローン金利引き下げを求める圧力は相当なものとなる見通しです。また、資金調達コストが低下していることからも、結果的には、政策金利引き下げ分が住宅ローン金利に反映されると考えられます。

豪ドルへのプラス効果

第2のポイントは、利下げを受けて投資先としての豪州の魅力が低下することから、豪ドルに下落圧力が加わるという点です。豪ドルの下落によって、豪州企業の国際的な競争力が高まるだけでなく、来豪する観光客や留学生が増加します。

リセッション回避

最終的に、利下げの実施は豪州経済に恩恵をもたらすと考えられます。最初の利下げの時期は、連邦総選挙の後となりそうです。

利下げと同時に、景気刺激策やインフラ支出の強化、資源投資低迷の底打ち、非資源投資の加速、そして願わくは世界経済が力強さを取り戻すとなれば、豪州経済の減速はある程度抑制され、確実にリセッションが回避されます。

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