2018年、軟調な一年を終えたグローバル株式市場ですが、2019年は投資家の期待に応える事ができるのでしょうか。
経済見通し
主要市場の中では欧州が短期的に弱含む見通しです、と語るのはシニア・エコノミストのディアナ・ムジーナです。イタリアはリセッション入りしており、ドイツも景気後退直前まで来ています。ドイツに関しては、新たな排出ガス計測方法を受けた自動車輸出の減少がマイナスに寄与しています。
一方、米国の成長は安定化に向かっているものの、年後半は減速すると予想されます。信頼感データはまちまちの内容ですが、底打ちした可能性が高いと考えます。これは、減税の効果が経済にまだ浸透しきれていない事が理由です。
全体的に見て、米国経済は軟調であるものの、悪化してはいません。インフレの上昇が確認されていないことからも、短期的なリセッションのリスクは極めて低いと考えてよいでしょう。
日本の見通し
グローバル上場不動産ポートフォリオ・マネージャーの市井秀治によると、労働市場はタイト化しており、複数の選挙が重なる選挙イヤーであることからも、政府は景気刺激策に意欲的になっています。
国内景気は良好であるものの、米国の金融政策といった外部要因が冷や水となる可能性があり、日本は強弱入り混じる状況にあります。
興味深いのは、人口減少が需給バランスに影響を及ぼすと懸念の声が上がっている一方で、高齢化が需要を押し上げる恰好で、これに対抗している点です。
トレンド主導の成長
グローバル市場における構造的なトレンドの中でも、新興市場における富の増大が主要な力学だと語るのは、株式シニア・インベストメント・スペシャリストのクサル・ミーメドゥーマです。
ミリオネア人口は2023年までに1,300万人の増加が見込まれており、これは中国や中東等における富の成長があるからこそだと指摘しています。従って、注目しているテーマのひとつは、マージンが厚く、需要が供給を上回ると見込まれる高級ブランドへの投資機会です。
成長を後押ししているもう一つの構造的トレンドは、動物/ペットの健康です。自分のペットに関して金は問題ではないと考えている飼い主は33%に上るとの調査結果も出ていることからも、ペットケア関連企業は成長軌道に乗っていると見ています。
インフラの投資機会
インフラへの投資機会を考える上で、ディフェンシブ性を備えた上場インフラ資産の価値上昇は同セクターにとってプラスであると見ているのは、グローバル上場インフラストラクチャーのポートフォリオ・マネージャーであるジョセフ・ティトマスです。
連邦準備理事会(FRB)の金利動向といったリスクを注視すると同時に、弱含む経済成長やインフレ見通しを背景に短期的には慎重な見方とするものの、長期的なリターン見通しは楽観的に見ています。
ESGの検討事項
サステイナブル・ファンズを担当する共同ヘッドのエミリー・ウッドランドによると、サステイナビリティ課題に関する企業責任を追及する動きが世界各地で高まっており、これが有形そして無形の資産価値に反映されています。
山火事やハリケーン、干ばつ、洪水といった自然災害の多発を受けて、物理的な影響も出ていることから、気候変動をめぐっては切迫感が高まっています。
投資家も、このリスクに注目し、行動に乗り出しています。例えば、国連責任投資原則(UNPRI)の署名機関は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインに沿った回答が義務化されています1。
この他、グローバル投資家にとって主要なESGテーマには、プラスチックを中心とした廃棄物処理、水の安全性、動物保護や人権などがあります。
投資市場を冷やしたボラティリティは継続すると見込まれるものの、米中貿易摩擦やブレグジットが落ち着きを見せた後には、より力強い世界経済成長の兆しが確認できるでしょう。
1 UNPRI、TCFD-based reporting to become mandatory for PRI signatories in 2020、2019年2月
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