不動産

良好なリターンを提供する豪州不動産

年初以降、企業信頼感や消費者マインドの低下が見られている豪州経済ですが、減速したとはいえ、プラス成長が維持されています。豪州の商業用不動産も、堅調なファンダメンタルズを背景に、今後も好調なパフォーマンスとなる見通しです。

州別に見ると、メルボルンやシドニーに代表されるサービス主導の経済以外でも、成長が確認されています。資源州は回復を始めており、パース経済の伸びはまだ低調であるものの、ブリスベンでは回復基調が持続しています。今、このダイナミクスが、不動産アセットへと波及し始める時期にさしかかっています。

州ごとに異なる様相

新経済の州と言えるビクトリア州とニュー・サウス・ウェールズ州では、高付加価値サービスや移民による人口成長が経済成長を牽引しています。これは、引き続き、オフィスや物流不動産需要を下支えすると見込まれます。

クイーンズランド州と西オーストラリア州では、経済回復が始まったばかりです。しかし、オフィスや小売セクターは、この景況改善から恩恵を受けると見込まれます。産業用不動産セクターでは既に、石炭輸出量の増加を受けた貯蔵や輸送スペース需要の伸びがプラス寄与しています。

一方で、投資先資産の供給不足から、不動産デットなど、よりオルタナティブな不動産投資へと目を向け始める投資家が増加しています。リスクカーブを上る投資家の動きからは、市場の注目が資金流入から資産パフォーマンスに移る新たなサイクル局面に突入したことが示唆されています。

大きな変革をもたらすテクノロジー

フレックスなど柔軟性のある働き方に代表される新たな事業モデルの登場を受けて、従来の不動産の評価や管理方法を見直す必要が出てきました。コワーキングやオムニチャンネル販売といったトレンドを背景にオフィスや商業ビルの利用方法は変化しています。より古い物件のオーナーは、資産をどの様にリポジショニングすべきかを検討しなければなりません。

豪州オフィス資産の平均築年数は30年です。1990年代に建設されたビルは、柔軟性のある職場スペースやウェルネス関連の取り組みを念頭に置いて開発されたものではないことから、新たなビル需要が生まれています。機敏かつ柔軟な利用を可能とする次世代の不動産が、中~長期的な投資機会を投資家に提供するでしょう。

経済状況を見る限り、オフィスや産業用セクターを中心とした開発案件を支えるに十分な需要が存在すると考えられます。しかし、注意が必要なのは小売資産で、中でも再開発の可能性が限定的であったり、主要ロケーション外に位置するショッピング・センターはリスクに晒されています。米国などを対象とした当社分析からは、競争が激化する局面で優れたパフォーマンスを創出するためには、エクスペリエンス(体験)と利便性を通じた価値の提供が重要である事が明らかになっています。

トータルリターンの観点から短~中期的に好調となるのは、設備投資に頼り過ぎず、テクノロジーやデモグラフィクス、都市化といった目まぐるしいトレンドの変化に機敏に対応し、強靭なインカムリターンを創出する資産となる見通しです。

インカム成長の余地

成長サイクルは一般的にコア市場にプラスであると言われますが、テクノロジーのディスラプションや世界経済の変化が進む局面において、このルールが当てはまるとも限りません。テナントのニーズの変化に伴って、柔軟性やアメニティ、ITインフラといった幅広い視点から、コア資産の定義を再考する必要があります。

オンライン小売は産業用不動産セクターに莫大なアップサイドを提供しており、長期の機関投資家からの需要が高まっています。

これと同時に、生鮮食品といった生活必需品(非裁量消費)分野の極めて安定した小売セクターのテナントも、配送センターを経由したオンライン販売に乗り出しており、長期的に安定した不況に強いキャッシュフローを創出しています。この展開は、オンライン消費の割合が豪州の倍の規模を持つ米国や欧州のトレンドを追随するものです。

オフィス資産も、テクノロジー・セクターの堅調な需要から恩恵を受けています。人員の拡大や海外勢の参入に伴って、豪州商業用不動産セクターでは良好な環境が今後長期に渡り継続する見通しです。

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