不動産

デジタル・ディスラプションの追い風に乗る豪州リート

By ジェームズ・メイデュー
グローバル上場不動産ヘッド 豪州、シドニー

ビジネスサイクルも後期に突入し、投資家の注目はディフェンシブな特性を持つ資産のエクスポージャー獲得に移っています。豪州リート(A-REIT)は、様々な市場環境を通して力強いリターンを創出してきたディフェンシブな資産クラスであり、株式を過去1年で11.8%、過去5年で5.7%アウトパフォームしています1。豪州10年国債利回りが過去最低水準に達する中で、不動産に代表される長期資産の需要が高まると見込まれています。

長期契約に裏付けされた賃料からのインカム収入や、世界的なトレンドがセクターの追い風となっている点からも、適切に構築された不動産ポートフォリオは、低成長や高ボラティリティ局面においても、安定したキャッシュフローを提供してくれます。

ベビーブーム世代の台頭

ベビーブーム世代が定年退職を迎え、高齢化と共に消費ニーズが変化するなど、デモグラフィックの変化が欧米社会に大きな影響を及ぼしています。不動産市場の堅調なパフォーマンスの背景にあるトレンドの一部は、この人口統計の変化と同じように、基礎的なものです。

65歳以上の高齢者人口は拡大を続けており、これに伴ってヘルスケアサービス需要が増加すると見られます。これは、高齢者向け住宅など、高クオリティのヘルスケア施設を提供する不動産企業にとって大きな追い風となります。

デジタル・ディスラプション

その他の投資機会には、デジタル・ディスラプション関連があります。つまり、新しいオンラインのプラットフォームを活用して、従来のビジネスのやり方や、コミュニケーションの方法や情報の保管方法を変えるものです。

歴史的にも、商業用不動産は事業の物理的な存在から恩恵を受けており、この様な従来の事業モデルをディスラプトするトレンドがセクターにプラス寄与するとは、想像し難いかもしれません。しかし、オンラインやクラウド型ソリューションへの移行の流れは、それをサポートする不動産やインフラストラクチャー(インフラ)需要が生まれる点からも、上場不動産投資家に投資機会を提供しているのです。

データセンター

IoT(モノのインターネット)家電、ネットフリックスやユーチューブに代表される動画ストリーミング・サービス、企業によるクラウド型サーバーへの移行が普及するにつれて、データストレージ需要は今後長期に渡って拡大を続ける見通しです。「クラウド」という名前からも掴みどころがない無形の保管場所をイメージするかもしれませんが、移行前に活用されていたDVDやCD、ハードディスクやサーバーの様に、その保管場所は実にリアル(かつコンパクト)なものです。

2016から2021年にかけて、世界のデータセンターにおけるデータ処理量は、年率27%のペースで増加し2、三倍増を超える規模まで拡大する見通しです。これに伴って増加が見込まれるのが、この成長を支援するインフラや不動産に対する需要です。

インターネットやクラウドの大家であるデータセンターは、幅広い経済動向からも影響を受けにくい、デジタル化という基礎的な社会の変化から多大な恩恵を受けると見られます。これらの不動産は極めて専門性が高いため、参入障壁が高く、供給過剰の影響も限定的です。また、大型テナント契約は一般的に長期であり、景気サイクル要因から影響を受けにくい安定したキャッシュフローの獲得が期待できます。

Eコマース

オンライン化の流れを考える際、実店舗におけるマイナスの影響に注目しがちですが、Eコマース拡大を受けた実店舗におけるディスラプションが実物不動産にプラス寄与する点も忘れてはいけません。

アマゾンやアリババといったEコマース巨人の出現を受けて、消費トレンドは実店舗からオンラインへと移行してきています。

店舗のオンライン化と共に、物理的な商品の保管場所は新たな意義を持つようになりました。ロジスティクス施設は、物品を倉庫で保管し、売却時にアクセスするという観点から、「安いモール」というあだ名が付けられています。オンライン小売業者は、価格や配送スピードで競合他社に勝つためにも、空港やインターモーダル(複数の輸送手段を組み合わせて、積み替えなしに物品を運ぶ輸送形態)鉄道といった交通ハブに近いロケーションに位置する、自動化された物流センターへの投資を強化しています。

この結果、コストや利便性が改善している点は、小売りのオンライン化が進んでいる理由でもあります。この構造的なトレンドの先進国が英国です。Eコマース(食品を除く)の普及は40%近くに達しており、今後5年間で50%へと近づく見通しです3。2016年におけるオンライン消費の47%がモバイル端末からであることからも4、モバイル技術の拡大がサポート要因となっています。

これと同時に、主要都市における産業用不動産の需要も高まっています。産業用不動産は、ここ20年程度で住宅など高バリュー用途の土地へと転換されてきたためです。この流れを受けて、ロジスティクス市場は転換局面を迎えており、消費者にほど近いロケーションに位置する最先端設備を備えた施設では、賃料、価値、入居率全てが過去最高水準に達しています。

まとめ

より幅広い市場ではボラティリティが確認されているものの、オンライン・サービスへの移行は、一部の不動産セクターでは不動産事業モデルのディスラプターとなるとともに、その他の不動産セクターでは今後長期に渡って価値創造に寄与するでしょう。これらトレンドを早期の段階で特定し、ビジネスサイクル後期や不透明感が高まる局面においては特に投資家が選好するディフェンシブなポジションの確立に向けて、取り組みを実行できる不動産企業こそが、パフォーマンスに優れたREITです。

今後12ヶ月間で各国中央銀行が更なる金融緩和に動くとすれば、債券利回りは低下することになります。世界的なトレンドという追い風を受けて安定した長期のインカム源を提供する豪州リート(A-REIT)は、より魅力的な投資先となるでしょう。

1. AMPキャピタル、2019年
2. シスコ、グローバル・クラウド・インデックス、2018年
3. CBREグローバル・リサーチ、2016年(データは食品以外の消費を示す)
4. IMRGキャップジェミニ、オンライン小売売上指数、2016年

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