航空機の有人飛行が初めて成功を収めた1903年以来、航空旅客数は拡大を続け、近年ではその増加に拍車がかかっています。
国際航空運送協会(IATA)によると、航空運賃の低下や世界経済成長の回復を背景に、定期便旅客者数は2017年に41億人を記録しました。都市間就航路線の数は2万件に達し、1995年から倍増となっています。飛行機の利用頻度平均も、2000年の43ヶ月から、2017年には22ヶ月へと増加しています1。
朗報は、この急成長が今後も拡大する見通しである点です。IATAの航空旅客者数20年見通しでは、現在のトレンドに基づいて政策枠組みの変更がないと仮定した場合、旅客者数は2037年に倍増の82億人に達すると見込まれています2。
そして、景気刺激策の導入や市場自由化が進むとすれば、更なる旅客者数の拡大が期待されます。

インフラ整備の遅れ
一方で、航空業界は「インフラ危機」に直面するとIATAは警告しています。IATA事務総長兼CEOのアレクサンドル・ドゥ・ジュニアック氏は、「コネクティビティの改善は世界に恩恵をもたらす。」と発言する一方で、「現状のままいくと、空港と航空交通管制は需要の伸びに対応することが出来なくなります。各国政府やインフラ運営企業らは、戦略的に今後の計画を立てなければなりません。今日の決断が、将来の航空業界の価値を左右します。」
旅客者数の急速な伸びとインフラ整備不足という二つの追い風を受けて、空港というインフラ投資の莫大なニーズが生まれています。マッキンゼーが発行した2017年のレポートによると、需要拡大に対応するために2017~2035年にかけて必要となる空港投資は2.1兆米ドル規模となる見通しで、このうち63%程度が新興市場におけるものとなることが指摘されています3。IATAでは、2030年までに1.2~1.5兆米ドル規模の空港開発が必要となると予測しています4。
一方で、各国政府は財政難に苦しんでおり、空港を含むインフラ開発資金の拠出が困難となっています。
国際空港評議会(ACI)によると、2008年以降、空港民営化は急増しています。2016年には、欧州の空港のうち41%程度が完全又は一部民営化されており、2010年から22%増となっています5。
インフラ投資の機会
航空旅客者数と空港投資需要は拡大を続けており、公的資金のみでこのインフラ整備不足を補う事は不可能です。
この資金不足は、インフラ投資家にとって莫大な投資機会であり、この資金ギャップを埋める民間資金の役割がより重要性を増しています。空港投資の機会は潤沢に提供されていることからも、より多くのインフラ投資家がその恩恵を検討すべきでしょう。
投資家の視点から考えると、空港は好ましい当局規制に守られたディフェンシブ性を有する一方で、地元地域や国とその経済にプラスの効果をもたらします。そして、最も重要な点として、世界を旅する旅客者数は増加基調を継続しており、投資家にとって魅力的な投資先であると言えます。
とはいえ、空港は複雑かつダイナミックな環境で運営する入り組んだ事業です。投資家は、様々なリスク管理や規模の大きい空港におけるパフォーマンス改善において豊かな経験を有するマネージャーを通じた投資を検討するのが得策でしょう。
1. 国際航空運送協会(IATA)
2. IATA見通しでは2037年の航空旅客者数は82億人を予測
3. マッキンゼー・グローバル・インスティチュート、「Bridging infrastructure gaps: Has the world made progress?」
4. IATA
5. 欧州国際空港評議会(ACI EUROPE)
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