従来のファンドにおける目標はベンチマークのアウトパフォームであるという事は、投資家の間で広く知られています。豪州株のファンドであれば、おそらくASX200指数をベンチマークに設定し、これを上回るパフォーマンスを目指す事になるでしょう。この場合、成功の物差しは、ASX200に対するアウトパフォーマンス/アンダーパフォーマンスしかありません。
しかし、世界金融危機(GFC)の際に明らかになった通り、ベンチマーク運用では、投資家は様々な問題に直面しかねません。
まず最初に、ポートフォリオ・マネージャーがベンチマークに勝ったとしても、投資家にとっては満足いかない結果となるケースです。ベンチマークは30%下落するかもしれません。ファンドは、25%下落したとしても、ベンチマークをアウトパフォームしたことになります。これは、ファンド・マネージャーにとっては良い結果といえますが、投資家にしてみれば莫大な損失を被ったことになります。
ベンチマークにおけるボラティリティ自体は、ファンドマネージャーが責任をもって管理すべきものとして捉えられていません。投資家は、この点を十分に理解した上で同リスクを自身で管理しなければならず、これがGFC時における投資家の期待と実際の結果との間に大きなギャップを生みました。
投資家とは誰なのか
おそらく最大の問題は、投資家の目標としてベンチマークに勝つことだけにフォーカスすることで、伝統的なファンドを運用するポートフォリオ・マネージャーは、最終投資家がどの様なタイプで、投資を通じて何を達成しようとしているかをよく知らない点です。
ポートフォリオ・マネージャーにとって、最終投資家が積立期にあるのか、資産取り崩し期にあるのかは不明で、ダウンサイドやインフレといった特定のリスクに対する許容度もわかりません。そして、投資家の課税状況さえも不明なケースもあります。
理解を深める
これとは対照的に、従来のファンドのアプローチにおける限界を打ち破る事を念頭に設計されたのがゴールベースの投資アプローチです。
このアプローチにおけるファンドの目標は、単にベンチマークをアウトパフォームするのではなく、達成したい特定のゴールによって定義されています。
豪州の退職者向けに、キャッシュフローをドローダウンしつつ、安定したリターンを確実に提供するなどは、ゴールベース型ファンドにおける目標の一例です。
そうすることで、この例においては退職者、つまり最終投資家が誰なのかについてを知る事が可能となります。これ以外にも、課税上の地位、大幅なドローダウンに対する許容度、インフレ感応度、流動性のニーズなど、最終投資家について多くの情報を入手することができるのです。
これによって、ポートフォリオ運用チームにとっても付加価値創造の余地が更に広まります。
見解を定める
運用マネージャーがゴールべースのアプローチに切り替えるという事は、一般的なベンチマーク運用を手放すということであり、これに代わって投資家のリスクやニーズを総合的に勘案することです。
もちろん、ベンチマーク運用から離れるということはそう簡単ではありません。
ポートフォリオ・マネージャーにとって、逃げ場はありません。確固とした見方をもって、絶対感でリスクを取りに行く必要があります。そして、市場の展開とバリュエーションの変化に伴って、どの様なポートフォリオになるのかを定義しなければなりません。
リスクの定義
運用マネージャーは、ベンチマークを排除するにあたってリスクとは何であるかを再考する必要があります。リスクは、もはや対ベンチマークのパフォーマンスではなく、他の何かになります。
AMPキャピタルでは、当社が運用を手掛けるゴールベース型ファンドにおいて、投資家が考えるリスクとファンドにおけるリスクの定義におけるアラインメントの確保を目指します。
一般的に、当社の退職向けファンドとゴールベース型ファンドにおけるリスクとは、GFCの様な危機局面において許容できる損失の範囲と定義しています。
今日のポートフォリオを見て、GFC時においてどの程度の損失を出したのかを考え、これを最終投資家の主要なリスクとして運用を行います。
目標の達成
従来のファンドは、ベンチマークに勝つことだけにフォーカスをしてきました。
このアプローチには深刻な限界があることが、GFCの経験からわかっています。投資家は、大きな損失を被っています。そして、これらの投資では、退職後における安定したインカムの獲得といった最終投資家の個人的な目標とのアラインメントが取れていません。
目標主導型のアプローチは、ベンチマークの限界からファンド・マネージャーを開放するものです。
そして、ベンチマークをアウトパフォームするのではなく、最終投資家に明確な結果を提供する事を目標とするファンドを形成することが可能となります。投資家が目指す目標や結果の達成において、その可能性を最大化する事を目指す、確実性の高いポートフォリオ運用を行う事ができるのです。
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