インフラストラクチャー

インフラストラクチャー・デット:民間資金のメリット

インフラストラクチャー(インフラ)デットは、プライベート・デット市場全体に占める割合は小規模であるものの、2013年以降グローバルで430億米ドルを集めたように1、成長著しいニッチな分野として注目を集めています。

世界経済危機(GFC)を受けて融資市場が変化

より幅広いプライベート・デット市場の成長において牽引役となっているのは、これまで資金の提供者となってきた銀行による貸出の減少です。この背景には、ドッド・フランク法やバーゼルIIIといった規制を受けて、資本保全バッファーの積み上げが要求されるようになった事が挙げられます。

この資本規制強化は、インフラやその他実体経済融資にとって痛手となりました。規制下にあり、長期契約を有する独占優位性を持ったインフラ資産はLTVが相対的に高い傾向にありますが、インフラ資産の特徴であるリングフェンス構造や安定性がリスク回避に寄与するという点が完全に無視される格好となり、高いLTVレシオという点だけで規制の影響を顕著に受けました。

資本市場のソリューション(インフラ・セクターにおけるプロジェクト・ボンドとも呼ばれます)は、借手に対して魅力的な長期の固定金利を提供しますが、ストラクチャリングにおける柔軟性を必要とする借手にとっては、あまり適したものではありません。プロジェクト債の買い手は、一般的に、投資適格の格付けを必要とする保険会社であり、投資適格の格付けを獲得するためには、格付会社の厳格な要件に沿った発行が求められます。

資本市場向け商品は、ファンディング繰延(ディレイド・ファンディング)ローンや複数通貨建て等、ニーズの高い魅力的な特性を有していません。これら、そしてPIK(現物払い)や契約上/ストラクチャリング上の劣後等のさほど一般的ではない特性は、一部のプロジェクトや借り手にとって非常に価値あるものなのです。

機関投資家マネー

このギャップを埋めるべく、極めて有利なポジションにあるのが、機関投資家マネーです。民間の貸し手は、これら特性を踏まえた、画一的な自己資本規制や格付け要件に縛られることなく、適正なリスク分析とプライシングが可能だからです。

投資家の視点から考えると、プライベート・デットという資産クラスの魅力は一目瞭然です。それは、大半の年金基金における期待収益率を上回るリターンが獲得できる上に、その他の非上場資産クラスよりもダウンサイドのプロテクションが手厚い、つまり資本構成において弁済順位が上位であり、DPI(累積分配金÷払込出資金)でみたリターンの実現も早期だという点です。DPI中央値で比較した場合、プライベート・デット・ファンドは6年目にしてDPI 1倍に達するのに対し、プライベート・エクイティでは8年を要します。2

安定した事業モデルとキャッシュ・イールドを誇るインフラ・プロバイダーは、負債対応が要求される投資家にとって魅力的な投資先です。融資ギャップ を埋める新たな資金提供者という重要な役割を果たすだけでなく、当社の様なメザニン・デットというニッチな分野のプレイヤーは特に、その専門性を活用した魅力的なリターンを創出が可能なのです。

インフラ・デットのセクターは、その他プライベート・デットと比較しても景気感応度が低く、他の実物資産(リアルアセット)よりもリターンの見通しに優れています。

魅力的なリターンの創出

AMPキャピタルでは、これら投資機会の獲得に向けて、ストラクチャリングにおける専門性と柔軟性を最大限に活用し、バリューを創出する投資機会を投資家に提供しています。

この新たな資金調達環境において、銀行が対応しきれないインフラ融資需要を取り込むべく、民間マネーの投資機会は豊富に存在します。ファイナンス・ソリューションの提供を通じてインフラ事業を助成するインフラ・デット投資家にとって、独自のローンをカスタマイズして形成する能力こそが、重要な差別化要因となるでしょう。

1. プライベート・デット・インベスター、「Infrastructure debt reels in $43bn」、2018年8月
2. ピッチブック

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