環境・社会・ガバナンス(ESG)

ESG投資:2019年の注目トピックスを振り返る

By エミリー・ウッドランド
上場株式、サステイナブル投資共同ヘッド 香港

2019年の様相を見る限り、ESGにフォーカスした投資の認知度と投資家行動は、来年も世界的に加速していくと予想されます。

数々の問題が時事ニュースとして紙面を賑わした2019年は、サステイナブル投資に対する関心が高まった一年となりました。当社の顧客においては、足元の金銭的リターンを超えた幅広い投資の影響に関するエンゲージメントの強化が図られており、当社自身も、より重大な問題複数に関して積極的なアクションに乗り出しています。

トップ・トレンド

今年において最も重大なサステイナビリティの話題は、間違いなく気候変動です。世界気象機関(WMO)1が9月に発表した最新の世界気候レポートからは、世界の平均気温が過去5年間で観測史上最高を記録した事が判明しています。増加が続くCO2の排出、海洋酸性化の進行、南極海氷の激減などは、地球温暖化に関連する環境の変化として発表された懸念事項の僅か一部にすぎません。

北極では異例の山火事が相次ぎ、アマゾン熱帯雨林でも大規模な火災が発生しています。山火事が豪州で猛威を振るう中、一部の地域では過去最悪となる干ばつに見舞われています。

投資家は、気候変動をポートフォリオにおける重大なリスクとして、今まで以上に認識するようになっています。スペインで開催された国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)に代表されるイベントや気候変動に対するデモ、そして「グレタ効果」によって、この問題に対する注目が集まっています。この結果、気候変動に関する株主提案は今年大きく増加しており、企業に対して情報開示やコミットメント、アクション実行といった取り組み強化が求められています。

AMPキャピタルでは、企業や大手投資家との協働を通じて、報告や情報開示の向上、排出目標の設定や達成に向けた戦略開発、パリ協定に沿った設備投資や投資処分の計画、気候への適応と対応力の計画、気候に優しい事業環境のロビー活動などを行っています。機関投資家の気候変動イニシアチブ「Climate Action 100+」においては、直接的なエンゲージメントを通じて実のある進歩を遂げていますが、道のりはまだ遠く、2020年以降も取り組みの強化を図っていきます。

採鉱の過程で発生するスラグ(鉱滓)の堆積場である鉱滓(こうさい)ダムをめぐっても、懸念が高まっています。ここ近年では、これらダムの崩壊が度々ニュースとなっています。今年1月、ブラジルのコヘーゴ・ド・フェイジョン鉱区のダムが決壊し、少なくとも作業員ら250名の死者を出しているほか、地元のエコシステム(生態系)に大きな被害を与えました。ダムの安全性について、当社では複数年に渡り資源企業との会話を続けています。同セクターの安全基準や鉱滓ダムに関する記録データの透明性に関しては、国連国連責任投資原則(UNPRI)が世界的なエンゲージメントを先導する格好で、正しい方向への取り組みが確認されています。

連邦現代奴隷法が成立した豪州では、来年も、人権や製造業サプライチェーンが注目を集めるでしょう。ファッション業界は、消費者から安さと早さを求められる代表的な例であり、小売価格が低下を続ける一方で、労働や環境面の費用が飛躍的に増加しています。サプライヤー側では、必要な社会面・環境面のチェックを怠るという手抜きがこれまで発覚しており、人々を搾取のリスクに晒しています。

同セクターにおけるリスクを改めて認識するきっかけとなったのは、ウイグル人をはじめとするイスラム系少数民族100万人超が拘束されている中国新疆ウイグル自治区の強制収容所のニュースでした。職業訓練が目的であると中国政府が主張するこの施設では、収容されている女性たちが、世界最大規模を誇るアパレルブランドの工場で強制労働をさせられていた事が発覚しています。

AMPキャピタルでは、企業に対して現代奴隷法の検討を要求し、サプライチェーンを隅々まで十分に調査し、懸念される問題については透明性のある開示を求めています。望ましくは、このような報告を通じて、サプライチェーンで現在も進行している社会・環境リスクの幅広い開示が行われることであり、これが非道徳的で危険な慣習の完全なる撲滅への一歩となるでしょう。

2018年のケンブリッジ・アナリティカ問題で注目が集まったソーシャルメディアは、グローバルIT大手による個人情報悪用の懸念が広まったことで、引き続き人々の関心を集めています。SNSプラットフォームの影の側面が明るみに出たのは、今年3月、ニュージーランド(NZ)のクライストチャーチで発生した銃乱射事件です。死者51名や多くの負傷者を出した同事件の犯人は、この犯行の様子をインターネットでライブ配信していました。世界を震え上がらせたこの悲劇を受けて、過激なコンテンツ配信の規制をソーシャルメディア企業に求める動きが広まっています。当社でも、ソーシャルメディア大手にコンテンツの規制管理や責任追及を求めるべく、企業とのエンゲージメントを通じてこの実現を目指すグローバル投資家イニシアチブに参画しています。

また、同事件後にNZ政府が半自動小銃の禁止を発表したことを受けて、銃が再び注目を集めています。多くの投資家は、エシカル投資の観点から、民間用銃器関連のスクリーニングの再検討や強化に乗り出しています。

これらの悲劇が生んだのは、多くの苦しみだけでなく、企業責任の強化を求める世界的なポジティブアクションです。AMPキャピタルも引き続き、顧客との協働を通じてこれらの問題に取り組み、より良い未来づくりに貢献していきます。

1. 世界気象機関、「Global Climate in 2015-2019: Climate change accelerates」、2019年

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