クレジット市場にとって興味深い一年となった2019年も残りあとわずかとなりました。2020年のキーワードは、貿易摩擦、低金利環境が継続する中での銀行格付けの向上、一部銀行におけるコンダクトリスクの増加、トランプ米大統領のツイートです。
投資家の観点から、2019年をローラーコースターに例える人も多いでしょう。穏やかな市場が一転ボラティリティに翻弄される局面が度々ありました。特に敏感な反応が見られたのは地政学イベントであり、トランプ米大統領のツイートを受けて混乱した場面もありました。
しかし、ここ年末にかけては、投資家や市場は極端な反応をしなくなってきています。そして、より動きの速い株式市場と比較すると、クレジット市場はこのような刺激的な言動にそこまで敏感ではありません。
このような事象、そして世界各国の中央銀行の動向や発言は、私たちの市場動向の見方に影響を及ぼすものです。中央銀行に関して言えば、その発言や政策は低成長における刺激を狙った緩和的なものとなっており、この点は心強いと言えます。
これらを踏まえると、2020年も今年と同じ様な状況が継続するとみられ、戦略やアロケーションの意思決定に向けて主要な市場イベントに注目しています。
張り詰めた環境の様に見えるかもしれませんが、世界金融危機後にバランスシートの調整に着手してきた世界の銀行は現在、基本的には健全であると当社では見ています。ここ10年の間、銀行は流動性や資本の積み増しや不良債権の縮小に取り組んでいます。
とはいえ、クレジット投資家が注目すべきポイントは、以下の通りです:
- ブレグジット:注目点はその確実性と協定内容で、秩序だった離脱となるのかという点です。この点が明確になれば、リスクとプライシングの十分な分析が可能となります。現在のジョンソン政権下において、ブレグジットはようやく実現する見通しとなっており、不透明感解消に一歩近づいたと言えるでしょう。しかしながら、ジョンソン英首相の言動を見る限り、貿易協定の最終合意が確実性を脅かす可能性もまだ残っています。
- 英総選挙後のばらまき政治:与党・保守党は総選挙後にばらまき政策を打ち出すと見られており、財政が悪影響を受ける可能性がある一方で、英国経済には刺激となるでしょう。経済動向は銀行の格付けに影響を及ぼすため、この点は重要なポイントです。イングランド銀行が最近行ったストレステストからは、銀行の資本力は健全であることが示されています。
- 米中貿易戦争:2020年11月の米国大統領選挙を目の前に、トランプ米大統領は市場の回復を優先した解決策の交渉を迫られるでしょう。この行方は、世界のあらゆる市場に影響を及ぼすと見られています。
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