経済&マーケット

2019/20年度豪州連邦予算案

By シェーン・オリバー博士
インベストメント・ストラテジー&エコノミクス担当ヘッド、チーフ・エコノミスト 豪州、シドニー

2019/20年度連邦予算案は良い内容となっているものの、総選挙前の予算としては控えめと言えるでしょう。本予算案の目的は3つあったと考えます:

  • 減速が懸念される経済に対して、刺激策を提供
  • 黒字化に向けた取り組みを継続し、達成すること
  • 政府が総選挙で再び勝利を収める

これらの点を考えると、景気刺激策が盛り込まれたものの、そこまで大規模なものではなく、経済を助成する事は確かであるものの、RBAが利下げを回避するには十分ではないと考えられます。

とはいえ、11年ぶりの黒字化は素晴らしいニュースであることに間違いありません。

現行政権が5月の総選挙で再び勝利を収めるに十分な内容であるのかについては、現時点では分かりません。本予算案は極度にポジティブな内容ではない事からも、与党保守連合は選挙勝利に向けて更なる取り組みが必要となるのではないでしょうか。

主な施策

中・低所得層向け所得税減税の拡大で、週当たり平均10豪ドル程度の減税を追加実施することで、合計で同21豪ドルの減税が受けられることになり、極めて朗報と言えます。

これに加え、年金受益者やその他生活保護者に対しては、単身者には75豪ドル、配偶者ありの場合には125豪ドルの現金支給が実施されます。

そして、65歳と66歳を対象に、年金積み増しに際する柔軟性が改善されます。

小規模事業者にも明るいニュースです。資産償却枠が5,000豪ドル拡大されて30,000豪ドルとなるほか、今後10年でより大規模な法人税減税が実施される予定です。

最後に、やはり最大のプラスは11年ぶりの財政黒字化です。

最も恩恵を受けるのは?

2019/20年度連邦予算案から恩恵を受けるのは、中・低所得層、一時金支払いを受ける生活保護者、小規模事業者、そして積み増しが可能となる65歳と66歳のスーパーアニュエーション年金加入者です。

投資市場への影響

市場の主な関心は、まず十分な刺激策が盛り込まれているかどうかで、財政の健全性にも注目が集まります。後者に関しては、黒字化の道が見えていることからも、格付けAAAはほぼ間違いないと言えるでしょう。

しかし、刺激策の規模は十分とは言えないため、予算案発表後に豪ドルに大きな動きはありませんでした。もし大規模な刺激策が盛り込まれていたとすれば、今後の利下げ観測が相殺され、豪ドルは上昇するはずです。しかし、豪ドルは上昇しませんでした。予算に組み入れられた財政刺激策は、豪ドルを動かすには不十分な内容であり、金利や債券市場への影響も限定的となりました。

一方株式市場では、インフラ支出に関連する企業にとってプラス材料が盛り込まれています。インフラ支出が拡大されたことから、建設企業が恩恵を受け、減税も消費財関連企業をサポートするでしょう。しかし、全体的に見ると、豪州株式市場や金融市場を幅広く底上げするとは考えられません。

では、住宅価格への影響はどうでしょうか。こちらも極めて限定的です。全国の住宅価格に影響を及ぼす様な内容はほぼ盛り込まれていませんので、シドニーやメルボルンを中心に価格は更に下落すると見込まれます。

インフラ支出の詳細

ここ5・6年の間、豪州はインフラ投資に重点を置いてきました。その他多くの欧米諸国と同様に、豪州は長い間インフラに対する十分な投資を行ってこなかったことからも、これは正しい対応です。インフラへの過少投資は、経済成長の減速や交通渋滞の悪化など、様々な問題を引き起こしており、豪州国民は人口増に伴ったインフラ整備の欠如に腹を立てていたのです。

連邦政府は、今後10年間のインフラ支出を750億豪ドルから1,000億豪ドルへと拡大しました。インフラ投資の増加は、インフラ資産に集まってくる民間事業の増加を促すものであり、経済成長に寄与します。

今後1年で大きな影響があるかというとそうではなく、より長期の経済効率性という観点から、今後10年に渡るインフラ支出の継続は良いニュースです。

オリバーズ・インサイツ

2019/20年度豪州連邦予算案:
待望の黒字化、総選挙をにらんだ更なる減税の打ち出し

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