オピニオン

ディスラプションへの投資:第2回

By アンディ・ガードナー
グローバル株式、インベストメント・マネージャー 豪州、シドニー

手術支援ロボットのパイオニア、インテュイティブ・サージカル社

医薬分野で幅広く実施されている外科手術は、改善の余地が十分に残されている分野です。疾患や負傷を処置する必要不可欠なサービスである一方で、合併症の発症によって再入院が必要となったり、医師のスキルが異なることから、治療結果も様々です。

GDPに占める保険医療支出は増加基調にあり、持続不可能な規模に達しようとしています。スタティスタのデータによると、GDP対比で見た米国の保険医療支出は、2000年に13.3%だったものが、2018年には18.2%まで増加する見通しです1

この分野で注目を集めているのが、上場企業である米インテュイティブ・サージカル社です。この医療技術企業が手掛けるのは手術支援ロボットで、患者、病院や医師に魅力的な付加価値を提供しています。

同社サービスにおけるキーワードは「支援」です。「ダヴィンチ」と名付けられたロボットによる手術支援システムは、医師の手の延長線として活躍します。

このシステムには、ロボットのアームを制御するコンソールが含まれており、アームの先にはメス等の器具をホールドするツールが備わっています。医師は、コンソールからこのツールをコントロールします。

インテュイティブ・サージカル社の事業モデルは、3つの収益源で構成されています:

  • ロボット手術システム
  • ロボットと同時に使用する手術用器具とアクセサリー
  • サービスプラン

 

投資家の検討事項

投資家が検討すべきポイントは2つあります。

まず最初に、現在インテュイティブ・サージカル社のみが事業展開する手術支援ロボット技術は、小開腹法において数多くの利点をもたらします:

  • 出血量を抑制、術後の回復がより早く、早期の退院が可能
  • 入院期間の短縮によって病院にもプラス効果、再入院が減少し、総合的な結果が改善
  • 外科医はより広い範囲に手が届くようになり、手術中の安定性と柔軟性が改善する事による生産性の向上、手術の質が改善し、肉体・精神面の負担軽減による生活の質も向上

次なる検討事項は新規参入です。今後新たな企業の参入が見込まれるものの、インテュイティブ・サージカル社はその独占的地位を維持し続けると当社では見ています。

インテュイティブ・サージカル社は、ここ20年において、早期参入による優位性と莫大な競争障壁を確立している点がその理由です。既に4,000機が導入済みで、500万件を超える手術が実施されています。また、同技術に関する12,000件超の臨床論文が発行されているほか、同社はここ20年に渡りR&D投資にも取り組んでいます。この間にインテュイティブ・サージカル社が蓄積した専門データと分析は、競合他社を超えるものであり、同社にとって莫大かつ持続可能な優位性であると見ています。

 

今後の見通し

外科手術におけるロボットの活用はまだ新しい分野ですが、大きな躍進が見込まれます。ロボット活用が可能であるとされる世界的な外科手術で、実際にロボットが活用されているのは僅か2%未満です2。当社の分析では、保守的に見ても、今後5年で4%へと倍増し、10年後には10%に達すると予想しています。ヘルニアやマージンの高い直腸手術、グローバル成長が、今後の段階的な成長をけん引すると見込まれています。

また、インテュイティブ・サージカル社の総売上に占める海外売上の割合は30%未満となっており、その他世界的な医療機器製造のそれが同60%である事を考慮しても、相当の成長余地があることが示唆されています3

同社がシステム導入数で大きくリードを取る中で、システム当たりの週間手術数も増加していることから、手術用器具とアクセサリー販売そしてサービス契約の増加が可能です。同社の経常収益は、現在売上の70%を占めていますが、当社リサーチでは今後10年以内に90%に到達する可能性があると見ています。

インテュイティブ・サージカル社は、キャッシュ創出に優れた事業です。相当量の純資金をバランスシート上に持つ同社は、昨年この資金を活用して発行済み株式4%近くの自社株買いを実施しています。R&D投資は同社における資金の主な再投入先であり、長期的な勝ち組と負け組の分かれ道は、この技術面でのリーダーシップとなるでしょう。

イノベーションの確かなトラックレコードを有するインテュイティブ・サージカル社は同分野における明らかなリーダーであり、長期の視点を有し、高成長かつ今後5年を超える競争優位性を有する事業として、AMPキャピタルにおける富の創造の枠組みにフィットする企業です。

 

1 スタティスティカ、US national health expenditure as percent of GDP、1960ー2018年
2 HCUPデータベース、Healthcare Cost and Utilization Project (HCUP)
3 インテュイティブ・サージカル社アニュアル・レポート、ブルームバーグ

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