米国の借入コストが今年大きく上昇する可能性があることから、インカム成長を提供する不動産投資への投資家需要は高まる見通しです。
2018年において米連邦準備理事会(FRB)による3回以上の利上げ観測が広まる中、足元では米国株式市場が6年来の下げ幅となるなど、世界的にボラティリティが継続しています。
FRBは昨年3回利上げを実施しており、今年は最大5回の利上げの可能性があると、AMPキャピタルは見ています。
「これらのグローバル要因は、豪州不動産市場にも大きな影響を与えるものです。」と指摘するのは、不動産リサーチ担当ヘッドのディクソン氏です。「資本コスト上昇に伴って資産価値の伸びが減速する中、投資家の注目は、投資先資産の生産性とインカム面から見たパフォーマンスの向上に集まるでしょう。」
需要の伸びが資本コストの上昇を上回ると見込まれるセクターのひとつが産業用不動産で、インターネット消費の拡大という構造上のシフトから恩恵を受けると見込まれています。
「当社の見通しでは、豪州経済で現在進行しているグローバル、かつ構造上の変化から恩恵をうけるべく最良のポジションにある豪州不動産セクターは、産業用不動産です。」とディクソン氏は語ります。「オフィスや小売と比較しても、インカム成長、物件の流動性、トータルで見た参入コストという観点から、より成長余地を秘めています。」
豪州では、昨年末にEコマース大手のアマゾンが本格参入しており、地元業者との競合も相まって、フルフィルメント(受注・物流・決済・返品までの一連の業務プロセス)能力が向上し、クオリティやスピードの面で配送オプションの改善が期待されます。
「今後のEコマース成長という観点から、最も力強いストーリーが描かれているのは産業用不動産セクターです。AMPキャピタルでは、産業用スペース需要のトレンドにおいて、アマゾンによる豪州本格参入が大きなカタリストになると見ています。Eコマース事業者の入居によって、今後5年間で50万平方メートル超(グロス)規模の産業用スペースが吸収される見通しです。
「これにより、人口密度と人口成長率が高いシドニーやメルボルンといった市場を筆頭として、全国的に産業用スペース需要の拡大が予想されます。また、このトレンドを背景とした賃料成長という恩恵も享受できるでしょう。」
産業用不動産セクターにおけるもう一つの成長分野は、テクノロジー関連の製造だとディクソン氏は予測します。
「太陽光パネルや専門技術分野の製造は成長セクターであり、主要産業用市場の長期平均である4%を上回る賃料の伸びが期待できると見ています。」
資本コストが上昇する一方で、インカム水準も上昇しています。クイーンズランド州の経済回復がよりサステイナブルになるなど、連続成長27年目に突入した豪州経済の成長がより広範囲で確認されるに伴って、2018年は全ての商業用不動産セクターで、良好な需要モメンタムが継続すると見込まれます。
株式市場の混乱以前から、米国、カナダ、英国では債券利回りが上昇しており、国際通貨基金(IMF)による2018年の世界経済の成長見通しは、3.9%となっています。
これは、ここ5年間における「低金利環境の継続」から、資本コスト上昇局面へと、世界的に移行しつつある事を示唆しています。
しかし、不動産セクターでは全てが順調という事ではありません。ロジスティクス・センター向けの産業用スペース需要を後押ししている要因は、小売実店舗にとっては圧力となる見通しです。
ディクソン氏が「一部向い風がある」と指摘する様に、産業用不動産需要に恩恵をもたらすEコマースは、小売セクターでは売上の伸びにマイナスの影響をもたらすと見られています。
インターネット小売の普及というトレンドに順応するためには、ショッピング・センターは、飲食やエンターテインメントなど、より多くのインタラクティブな体験の提供に向けて、改装に資金を投入する必要があります。
「投資家の注目は、資本コストの上昇局面に突入するとともに、サイクルを通じて力強いインカム成長を提供する資産に移っていくでしょう。つまり、成長目まぐるしい市場において最高のテナントを誘致し、経済成長が減速する局面でもインカムを確保する必要があります。」
AMPキャピタルでは、2018年後期から2019年初期にかけて、豪州準備銀行(RBA)による利上げを予測しています。一般的に、借入コストの上昇は不動産価値の低下をもたらします。しかし、現サイクルは過去と比較してもギアリングが低水準となっており、低下幅は最小限となる見通しですが、これは利上げの幅と回数によって左右されるでしょう。
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