環境・社会・ガバナンス(ESG)

ESGラップ 2018年2月

今月の注目トピックス

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豪州小売、現代奴隷法の受け入れ準備は整っているのか?

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気候変動に寄与したとして、ニューヨーク市が化石燃料企業を起訴

豪州小売、現代奴隷法の受け入れ準備は整っているのか?

  • 昨年12月、豪州連邦議会連合委員会が政府に対して現代奴隷法制定を要請しました。同法令には、年間収入50百万豪ドル超の企業に対するサプライチェーン報告の義務化が含まれており、制定2年後には報告を怠った企業名が開示される仕組みです。
  • 強制労働や拘束労働、人身売買など、現代の奴隷数は、世界で4000万人を超えると推定されています。
  • 現代奴隷の排除、サプライチェーンにおける透明性向上、健全な企業活動の推進が最優先であるという明瞭なメッセージが、この現代奴隷法案を通して企業に送られることになります。
  • 豪州の現代奴隷法案は、英国で2015年に制定された現代奴隷法をベースにしている部分が多いものの、英国現代奴隷法では報告義務を怠った企業に対するペナルティはありません。一方で、つい最近、英国のネイルサロンで働かせるためにベトナムから子供を人身売買した女性と男性が、同法令の下懲役処分となっています。これは、英国現代奴隷法制定後初の有罪起訴 です。

<ポイント>

  • 価格競争で勝ち残るための奴隷労働の排除を確かなものにするためにも、対象となる事業者にとって平等な条件であるように、標準化かつ簡素化された報告内容となる事を望みます。
  • 豪州における現代奴隷法は、企業のみならず、その取締役や経営陣のレピュテーションをリスクに晒すこととなるため、企業上層部におけるアカウンタビリティの向上に寄与します。
  • 豪州の大手小売業者の一部は、同法令制定に向けた準備に後れを取っている模様で、早急に取り組む必要があると言えます。

 

気候変動に寄与したとして、ニューヨーク市が化石燃料企業を起訴

  • ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は、同市の年金基金5件において化石燃料事業への投資総額50億米ドル規模を処分すると発表しました。また、これら年金基金は、BP、シェブロン、コノコフィリップス、エクソン・モービル、ロイヤル・ダッチの石油メジャー5社を起訴し、気候変動被害の対策コストとして損害賠償を求める計画であるとしています。
  • 昨年、カリフォルニア州サンタクルーズ郡でも同様の発表が行われています。
  • これら訴訟は、石油・ガス・石炭企業に海面上昇に関する賠償を求めるだけでなく、頻発そして深刻化する山火事や干ばつ、豪雨等に代表される様に、温室効果ガス汚染による水循環の変化に対しても責任を追及するものです。
  • ニューヨークの同年金基金の声明によると、現在そして今後ニューヨークが気候変動から受ける経済的影響には、海岸保全の開発、上下水道インフラの更新、熱緩和対策や熱中症対策に関する公共衛生キャンペーンなどが含まれます。
  • ニューヨーク市は、化石燃料の燃焼が気候変動を引き起こすことを何十年もの間知っていたにもかかわらず、自社の収益を守るために意図的に世間を欺いたとして、石油企業に責任を追及しています。

<ポイント>

  • 地球温暖化に関する経済面、環境面、そして公共衛生面のコスト増加に悩まされる自治体の数は増加しており、一部では汚染企業に対するアクションに踏み出しています。
  • 化石燃料投資からの撤退は今や大きなトレンドとなっており、タバコ企業が投資対象外となった時の様相と似ています。方向性は正しいものの、訴訟の解決には幾年という月日を要する場合もあります。
  • しかし、この判決は、世界の多くの企業に莫大な影響を与える可能性を秘めており、投資家が企業に対して汚染や気候変動の責任を求める先例となり得るでしょう。
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