不動産

豪州オフィス:視野を広げる時期が到来

良好な環境からの恩恵を長期に渡り受けてきたオフィス市場では、失業率の低下、景況感の改善、IT&サービスの成長といった要因が賃料の伸びや空室率の低下に寄与してきました。しかしながら、この成功が浸透しているのは一部の市場に限られており、西オーストラリアやクイーンズランドといった資源ブーム後の低迷期から脱する過程にある資源州のパフォーマンスは、ビクトリア州やニューサウスウェールズ州を下回っています。とはいえ、これら資源州の経済状況には回復の兆しが見えていることからも、投資先として、これらオフィス市場を再度見直す時期ではないでしょうか?

当社の分析では、クイーンズランド州と西オーストラリア州の経済は、回復の初期段階にあります。失業率は低下、移住者は増加傾向にあり、資源投資マネーの引き揚げはもはや、同州経済成長の足枷ではなくなっています。従って、比較的高いイールドと賃料成長の回復を背景としたアップサイドが期待できると当社では見ています。

クイーンズランド州:見通し明るい太陽の州

ブリスベンでは、空室率の低下や賃料の伸びが市場全体に浸透し始めており、回復の力強い兆しが確認されています。

ブリスベンのオフィス市場は、ここ2年で8千人規模の新規採用を行った行政セクターからの堅調な需要によって活気を帯びています。これは、優良オフィスを中心に、オフィス・スペースの新規需要を押し上げています。

クイーンズランド州の景況感も改善を見せており、資源ブーム時代の水準を上回る、10年来のピークに達しています。

エンジニアリングと資源投資は再び増加基調にあり、その他の州の様相を考慮すると、サービス・セクターを中心に雇用が拡大する見通しです。

オフィス資産不足は注視すべきポイントであるものの、ブリスベンは割安であると、当社では見ています。

西オーストラリア州の回復

豪州統計局(ABS)の発表によると、資源ブームの終息から最も打撃を受けたのは西オーストラリア州で、経済成長率は2年前に7%低下しています。しかし、現在は1%近くの水準まで回復しており、本当の意味でスランプから脱出したと言えます。さらには、資源投資の再開が確認されています。

需給環境も良好な様相となっています。当社リサーチとJLL発表のデータによると、パースCBDにおける新規オフィス開発は今後5年間で僅か50,000平方メートル程度にとどまる見通しであることから、空室率は低下、賃料は上昇すると予想されています。

パースの回復はブリスベン程ではないものの、バリューの発掘が可能であると当社では考えています。

成長とイールド

パースとブリスベンでは、回復基調が維持される見通しです。今後5年における実質賃料の伸びは、ブリスベン優良オフィスで4%、パースCBDで5%となると当社では予想しています。メルボルンやシドニーCBDでは、各5%程度の賃料上昇が見込まれていることから、足並みが揃った伸びとなる見通しです。

賃料の成長に加え、パースとブリスベンでは魅力的なイールドが期待できます。当社リサーチによると、シドニーとメルボルンのキャップレートは4%台前半~半ばであるのに対し、パースとブリスベンの優良オフィスのキャップレートは5%台後半、一部では6%台前半のレンジであることから、50~100bpsのスプレッド獲得が可能です。

中期のプレイ

パースとブリスベン市場の回復は、中期プレイとなるでしょう。

これら市場におけるプライシング動向や景気回復の兆しを考慮すると、シドニーやメルボルン以外へと視野を広げて投資を検討している投資家にとっては、インカムだけでなくキャピタル成長のアップサイドを獲得するチャンスです。

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