株価下落に動揺し、新年の動向を懸念している投資家も多い事でしょう。
しかし、弱含んだ2018年も終盤を迎えています。2019年はより良い1年となり、十分に分散の効いたポートフォリオからは相応のリターンを獲得する事が可能である事を示唆する理由が幾つか存在します。
1. サイクル中盤の調整
まず第一に、リセッションや弱気相場の懸念はありますが、グローバル経済の様相はというと、大規模なリセッションではなく、サイクル中盤の調整であるという点です。以下の図表が示す通り、世界経済危機(GFC)後の回復の道筋は平たんではなく、2011年や2015年から2016年にかけて、幾度とないサイクル中盤の減速を経ています。

2. 本格的なリセッションではない
世界的に成長が減速しているものの、本格的なリセッション入りの可能性は低いと見られます。過剰投資は確認されておらず、世界でも利上げを行っている国は多くありません。また、金融引き締め対策も実施されておらず、大規模なインフレ問題も見当たりません。
2019年初期においては成長が抑制される格好となるものの、時間の経過とともに成長が上向き、世界経済成長が継続すると見込まれます。
3. 原油価格は低下している
楽観的な見方をするもう一つの理由は、原油価格が3割程度下落している点です。これにより、インフレ圧力が緩和され、家計にもプラスであることから、減税と似たような効果がもたらされています。
これは、小幅減速がもたらす恩恵の典型的な例です。株式市場にとっては朗報ではありませんが、原油価格の低下は最終的に景気サイクルの延長に寄与するため、2019年において、株式市場回復の推進力となる見通しです。
4. 緩やかな利上げ又は利下げの可能性
最後の理由は、2019年における利上げ幅は抑制される可能性が高いためです。米連邦準備理事会(FRB)は恐らく更なる利上げを実施すると見られますが、そのペースはこれまでより緩やかなものになると見られ、2019年上期においては利上げを保留してもおかしくないと思われます。
これは経済成長の減速を反映した結果であり、米国の短期インフレ見通しはFRB目標である2%近辺となる兆候でもあります。その他主要国における利上げの可能性は極めて低く、一部(中国など)では利下げの可能性さえあります。
投資リターンへの影響
一部の投資家の懸念はさておき、上記4つの理由から、本格的な弱気市場やリセッション入りの可能性は低いと考えられます。従って、2019年は、一時的に悪化する可能性もありますが、2018年よりも優れたリターンが期待できると見ています。
資産クラス別の見通し

豪州の見通し
豪州の見通しはまずまずですが、リターンは抑制されるでしょう。
力強いインフラ支出と健全な設備投資が確認されており、輸出額も維持される見通しですが、住宅市場が減速を見せていることから、総合的に勘案すると、豪州準備銀行(RBA)は政策金利を据え置くか、利下げに動く可能性があります。従って、銀行預金のリターン見通しは2019年を通して極めて低水準となる見通しです。
注目点
2019年を通して、注目すべき分野が幾つか存在します。
- 豪州の住宅市場
豪州住宅市場では軟調さが継続すると予想されます。銀行貸出の厳格化と供給増加を受けて、見通しは弱含んでおり、結果として買い手が減少しています。海外投資家需要の低下、政権交代の可能性といった要因全てが、シドニーとメルボルンを中心に、豪州住宅価格の更なる下落を招いています。
- FRB
FRBの動向には世界的にも注目が集まりますが、大きな利上げの動きは見込まれないと考えています。
- 米中貿易戦争
米国と中国間の貿易問題は、年初を中心に、2019年を通して所々で表面化すると見られます。同問題の再燃を見極める上で注目すべきは、11月のG20サミット時に行われた米中会談で合意となった米国による対中関税引き上げ90日間凍結の行方です。
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