ゴールベース（目標主導型）投資

豪州のウェルスマネジメント市場は、構造そして規制枠組みの観点から成熟した市場です。1992年に導入された強制加入の私的年金「スーパーアニュエーション」制度によってここ25年間にわたり成長を続けてきた豪州の年金市場は、世界で4番目の規模に達し、最も急速に拡大している市場のひとつとなっています¹。

確定拠出年金（DC）の割合が87%¹と高いのも、豪州の特徴です。人口の高齢化を受けた将来的な退職給付債務の積み立て不足見通しを背景に、確定給付年金（DB）制度は20年以上前にフェーズアウトしています。DCが主流になった結果、退職資金の責任が、政府（老齢年金）から雇用者や個人へとシフトしました。個人の間でスーパーアニュエーションや退職資金に積極的に取り組む動きが広がった結果、自己運用型スーパーアニュエーション・ファンド（self-managed superannuation fund、SMSF）の普及によってリテール市場が急速に成長しました。

豪州市場は、規制の観点からも、1850年代の誕生から継続的に変化を遂げています。現在3兆豪ドルに達したスーパーアニュエーション総残高は、2040年までに9兆豪ドルに膨らむと予想される中で²、豪州政府にとって市場を守り、投資家の退職貯蓄と投資を保護する事は極めて重要です。

フィナンシャル・アドバイス・セクターの調査を受けた最近の規制変更を受けて、ウェルス・マネジメント市場では課題とオポチュニティが提供された格好となり、アドバイス事業や年金商品プロバイダーの事業モデルに大きな変革をもたらしました。ここで成功への鍵となったのは、顧客にとって適当な業界一の商品の開発です。

豪州における商品の進化を後押ししたのは、日本で2017年に策定された「顧客本位の業務運営に関する原則」に似た要因です。世界金融危機（GFC）における投資結果、投資家トレンドの変化や規制の強化を受けて、従来のベンチマーク運用ではなく、顧客の目標やゴールとのアラインメントを強化した商品設計のニーズが明らかになりました。これらの要因が、顧客にとって適当な業界一の商品設計において顧客の利益を最優先するという商品戦略アプローチの豪州市場における形成に寄与しました。

確立された事業やその収益モデルに莫大なディスラプション（破壊的イノベーション）を経験してきた豪州のウェルス・マネジメント業界では、この変革に適応し、卓越した結果を顧客に届けるにあたり業界の先導を切って取り組む企業にとって、莫大なオポチュニティが提供されています。

AMPキャピタルは、これら業界における変化を的確に捉え、革新的な商品ソリューションの開発に取り組んでいます。

¹ ウィリス・タワーズ・ワトソン、グローバル・ペンション・アセット・スタディ2019年
² 豪州スーパーアニュエーション・ファンド協会

十分な退職後の生活資金確保や、休暇を楽しむための資金を獲得したいと考える人は多いもので、中には子供や孫に少しでも資金を残したいと思う人もいます。

貯金用・支出用と用途別に銀行口座を設けるのと同様に、異なる目標の達成に向けて、異なる投資を行うのは理にかなった選択です。

まずは目標を設定し、その後これら目標の達成に当たり相応しい投資ソリューションの選択を行います。

投資家が意思決定プロセスに積極的に関与するゴールベースの投資アプローチは、投資家が主導権を握るという点で有益であると言えます。ゴールベース戦略の成功とは、ベンチマークや競合他社をアウトパフォームすることではなく、投資家の目標に対して優れたパフォーマンスを実現しているかです。商品設計や報告、コミュニケーションにおいて、投資家の目標やニーズとの関連性を維持する事が重要となります。

投資家の目標達成に向けた投資パフォーマンスの実現にフォーカスすることで、市場が混乱する場面でも、理性を欠いた不適切な決断を避けることが可能となります。

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