2017年12月

 

2017年も終盤を迎え、商業用不動産市場では価値上昇トレンドが継続しています。投資家が最も注目しているポイントは大きく二つあり、この成長基調は2018年以降も継続するのかという点と、この競争激しい投資環境下でどの様にバリューを発掘するのかという点です。

不動産価格は未だ妥当な水準にあります。フェアバリューの先行指標として直接利回りのスプレッドとその長期平均の比較を見てみましょう。豪州10年債利回りは現在2.8%です。東海岸優良オフィスのイールドはリスクフリーレートを280bps上回る水準(20年平均は180bps)にあり、中には4.5~5.0%のレンジで取引される最優良物件があるものの、まだ長期平均を十分に上回る水準にあります。当社の見方では、現在の低イールド環境下ではフェアバリューが維持される見通しです。イールドの圧縮は2018年も継続し、全セクターで平均12.5~25.0bps程度となると見られますが、不安定な経済や金融政策変更によってこの方向性が変わる可能性もあります。

莫大な資金が実物資産を追う状況も継続する見通しで、今の所、価格の上昇圧力が維持されます。金利と国債利回りが過去最低水準まで低下したことを受けて、不動産はイールドを求めるリスク許容度の低い投資家の「第一の選択肢」となりました。1987年以降、実物不動産がマイナスのトータルリターンを記録した期間は僅か4回、一方株式は12回を記録しています。長期の安定したキャッシュフローや資本コストが低いといった点から、豪州では、キャップレートが直近の2007年ブーム時の水準から平均で250bps以上も圧縮しています。

2007年と比較し、なぜ現在のサイクルが異なるのでしょうか。直近の2003~2007年における好調な価値上昇サイクルでは:債券とイールドのスプレッドがマイナス圏に突入し、高い債務水準が価格を支えていたことからも、投資家は金利上昇による打撃を受けました。2007年に最大55%程度あった豪州REITの平均ギアリング水準は、現在30%未満です。現在のサイクルにおいて、運用マネージャーはより保守的な資本管理戦略を実行していますが、価値上昇トレンドとコア資産の再開発が継続する場合には、リターン向上に向けて投資家がドライパウダーを投入することから、ギアリング水準が上昇する可能性があります。一方で、資産価値低下局面でアセット売却に迫られる事を回避するためにも、低ギアリング水準の維持は運用マネージャーにおける明確な戦略目標となっています。

バリューの発掘は難題ですが、不可能ではありません。堅調な価値成長が先導する現在のサイクルで、賃料の伸びとテナント需要はまちまちの様相となっています。需要サイドのアウトパフォーマンスは、成長見通しの良好なテナントに注力し、需給状況を活用するなど、ファンドマネージャーによる積極的なアセットマネジメント戦略の結果です。現在のサイクルが成熟期に突入するとともに、投資家は積極的なアセットマネジメントを通したインカムリターンの向上に注力すべきでしょう。再開発、そしてテクノロジーやEコマースに代表される成長セクターの組み入れは、賃料成長を達成する上で必要不可欠です。

現在のサイクルにおいてバリューはどこに潜んでいるのでしょうか?豪州の堅調な人口成長、高水準のインフラ支出、良好な景況感は、中期に渡って投資家リターンの安定化をもたらします。セクター別で見た場合、パフォーマンスはまちまちとなるものの、積極的なアセットマネジメントと規律ある長期戦略を通じたテナント獲得が成功の鍵となる見通しです。

 

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