2016年8月

 

主なハイライト

  • 月初に見られたオープンエンド型不動産ファンドの解約停止は、2007年のパリバショックとは異なる
  • イタリア市場ではボラティリティが継続するも、航空交通管制サービスを提供するイタリア航空管制公団(ENAV)のIPOが成功裏に終了
  • EU加盟国への依存度が高いインフラ資産は、英国や欧州GDPの減速という市場ファンダメンタルズの悪化を受けて収入が減少する可能性があり、ブレグジットの影響をより受けやすい傾向にある

 

グローバル上場不動産

マシュー・ホジキンス、欧州ヘッド

ボラティリティが高まったものの、ブレグジットは英国のみの問題、そして経済的よりも政治的な問題であるとの見方が投資家の間で広がった結果、グローバル上場不動産は7月、月を通して好調なパフォーマンスとなりました。月初はオープンエンド型ファンドの解約停止が相次ぎましたが、2007年のパリバショックと明らかに異なる重要な点は、損失を恐れる投資家主導の解約であり、資金の返済を求める銀行主導の動きではない点です。

大陸欧州の企業決算からは、イールドの圧縮と不動産ファンダメンタルズ改善の継続が確認され、多くのセクターで賃料が上昇しています。欧州中央銀行(ECB)による量的緩和を受けて、高利回りかつ持続可能な収益成長が期待できる資産クラスに注目が集まっており、上場不動産はスイートスポットにあります。

北欧では、ブラックストーンが32%持分を取得したDカーネギー、そして収益面でのポジティブ・サプライズを続出し、当社でも選好する銘柄の一つであるエントラの2社が、特に堅調な月初来パフォーマンスを記録しており、銘柄勝負の市場となっています。

 

グローバル上場インフラ

ジュゼッペ・コロナ、ポートフォリオ・マネージャー

7月は、イタリアで航空交通管制サービスを提供する唯一の企業、イタリア航空管制公団(ENAV)のIPOがありました。同社の主要事業は、イタリア空域内の航空交通管理サービスと航空機の進入・離陸・着陸にかかるサービスで、管制塔や管制センター、その他設備などの関連インフラ資産も所有します。同社が主要事業とする航空サービスは極めて重要かつ必要不可欠なものであり、高度な規制下に置かれ、自国のみならず国際・欧州の法令枠組みへの準拠が必要とされています。高度な規制、そして長期に渡り成長が見込まれる航空交通量を受けて、予見可能性の高い収入に基づく安定した事業モデルと非常に健全なバランスシートを誇ります。

ENAV株式の売出は7月22日に完了、同社株式最大46.6%が機関投資家(90%)と個人投資家(10%)に売却されました。ブレグジット後の不安定な相場環境にありながら、同IPOは約8倍の応募超過となり、成功裏に終了しています。7月26日の上場後、同社株は堅調な需要を受けて10.6%上昇しています。

同IPOは、堅調なキャッシュ・フローとイールド、そしてディフェンシブ性を提供する上場インフラ資産に対する投資家需要が旺盛である事を示していると言えます。政府によるインフラの民営化はここ数年における興味深いテーマであり、中期的に継続する見通しです。

 

インフラ・エクイティ

マニッシュ・アガワル、プリンシパル

ブレグジット直後の市場では短期的な警戒感が見られました。欧州経済減速の可能性は排除できないものの、ファンダメンタルズに変化はなく、非上場インフラは「質への逃避」の動きから恩恵を受けると見込まれます。

また、ブレグジットの影響を見極める中で投資家の間では警戒感が高まっていますが、これは投資意欲の後退というよりも、様子見の姿勢であると考えています。

ブレグジットによる不透明感と夏休み時期が重なり、案件のオリジネーションは僅かに減速しましたが、近いうちに市場に出回る見通しです。案件実行意欲は後退しておらず、長期的な減速は見込んでいません。

 

インフラ・デット

エマ・ハイト=チェン、プリンシパル

インフラ資産の特徴はGDPとの相関性が低い非シクリカルなディフェンシブ性であることから、英国経済に対するブレグジットのマイナス影響はインフラ資産における債務支払い能力を大きく脅かすものではないと考えられます。コア・インフラ資産に対して担保付ローンを提供し、固定クーポンを収益源とするインフラ・ファンドは、ブレグジット影響を乗り切るだけの弾力性を有していると言えるでしょう。なぜなら、これらファンドが行うデット投資は、インフラ資産における収入の変動に影響されない確定利払いの仕組みが組まれているためです。

欧州市場のインフラは、大きく次の2つに分類することができます:国内プロジェクト、そしてEU加盟国への依存度が高いプロジェクト。前者の国内プロジェクトは主に、公益事業や英ポンドで資金調達しているアベイラビリティ・ベースの英国プロジェクトです。後者のEU加盟国への依存度が高いプロジェクトは、運輸やエネルギー関連のプロジェクトが含まれ、ブレグジットの影響を受けやすい傾向にあります。

運輸プロジェクトの一部では、ブレグジットの影響が英国そして欧州GDPの減速という形で現れ、市場ファンダメンタルズの低下を受けて収入が減少する可能性があります。しかし、コア・インフラ資産の特徴を有する資産の場合、ブレグジットの影響は限定的となり、債務支払いに影響が及ぶ事はないでしょう。

AMPキャピタルでは通常、数々のダウンサイド・シナリオ下でもキャッシュ・フロー創出力を持つインフラ資産に対してデット投資を行います。また、ローンにコベナンツ(特約条項)をつけることで、資産のパフォーマンス報告や債務支払いのための流動性を確保します。コベナンツ違反時には、債権者はデフォルトを申請し、資金の確保に動く場合もあります。AMPキャピタルでは、ダウンサイド・プロテクションとローン保証をインフラ・デット案件のストラクチャリングや投資交渉時における最重要事項と考えており、欧州インフラ・デット市場の長期見通しは楽観的であると見ています。

 

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