2018年3月

 

安定で予見性に優れた資産クラスと定義されることが多いインフラも、進化しています。CO2排出削減に向けた取り組みなど、テクノロジー開発や社会的懸念の浮上とともに、インフラも順応しているのです。足元では、市場の変化を背景とした新たなインフラ投資機会が提供されています。

世界のインフラ市場を見てみましょう。道路、鉄道、水、発電、送配電など、社会におけるインフラ需要は大幅に拡大を続ける見通しです。これらの伝統的なインフラ資産に加え、光ファイバーや地域熱供給といった新たな投資機会が登場しています。

インフラデット市場では、旺盛な機関投資家需要が確認されています。2017年8月、AMPキャピタルのインフラストラクチャー・デット・ファンド3号(IDF3)が募集目標を上回る25億米ドルを獲得してクローズを迎えたことも、その証と言えるでしょう。この資金を投資するにあたっては、コアなインフラ事業におけるメザニン・ローン(劣後債)投資を通じた分散の効いたポートフォリオ構築にフォーカスする一方で、魅力的なインフラの特性を有する新たなセクターも視野に入れています。この新たなセクターのひとつが地域熱供給で、既に2件の投資を実行しており、今後も欧州における同セクターのエクスポージャーを拡大する計画です。

その技術が既に確立されている地域熱供給は、欧州エネルギー市場が直面する問題に対するスマートなソリューションとして注目を集めています。同セクターのインフラ資産の一部は、コアインフラの一般的な特徴を有するとからも、魅力的な投資機会であると見ています。これら事業は安定した規制環境で運営される事が多く、公益事業としては基幹インフラであると言え、独占性を有し、安定した収益源を持っています。一般的に、ひとつのロケーションにおいて実質的なネットワークはひとつしか存在しません。従って、利用者はいつでも契約をキャンセルする事ができるものの、サービスの必要性は健在であり、代替オプションは極めて限定的となっています。また、大陸を横断するパイプ網開発には莫大な費用を要するため参入障壁も高く、完成後には顧客を獲得するに十分な低い料金設定が必要となります。この様に、同セクターはディフェンシブ性と安定性備えており、かつ成長・統合の機会を有するとAMPキャピタルでは見ています。

総エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに20%にするという欧州連合(EU)の目標を受けて、発電だけでなく高効率の送配電にも投資家の注目が集まっています。政策支援は然ることながら、排出削減トレンドやエネルギー安全保障、エネルギー効率なども、地域熱供給の発展を後押ししている要因のひとつです。地域熱供給は、バイオマスや地熱といった低炭素の再生可能エネルギー源を活用する事が可能であり、利用者そして国レベルでのエネルギーの安定供給が改善されることで、主幹エネルギー網への依存が低下します。また、従来のボイラーを使った暖房よりもエネルギー効率に優れ、スマートメーターや温度管理など、エネルギー網のデジタル化を受けて、更なる効率向上のポテンシャルを秘めています。

過去を振り返ると、地域熱供給導入の様相は国によってまちまちでした。スウェーデン、フィンランド、デンマーク、ドイツ、アイスランドでは幅広く普及しているものの、英国やフランスでは、これまで導入がなかなか進まない状況にありました。しかし、両国政府は、その導入を積極的に支援しています。フランスは、2012~2030年でその規模を5倍にする目標を掲げており、英国では、地域熱供給セクターにおける20億ポンド規模の投資促進を目指しています。

これら各国では、環境問題のソリューションとして地域熱供給が活用されており、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からも優良な公益ストーリーであると言えます。エネルギー効率を考慮して開発されたこの技術は、そもそも産業過程で発生する熱の再利用が年頭に置かれていました。分散型電力網は様々なエネルギー源を組み入れる事が可能で、バイオマス発電といったサステイナブルなエネルギー源の利用が拡大していることからも、従来のガス暖房よりも環境面で優れています。AMPキャピタルでは、ESGを重要な検討事項のひとつに位置づけており、グリーン・エネルギー志向の進展を支援するインフラ資産は、長期投資のポテンシャルを秘めていると考えています。

AMPキャピタルにおけるインフラ・デット戦略では、西欧や北米、その他先進国に本社を構えるディフェンシブで非シクリカルなインフラ事業に対するメザニンローンの提供にフォーカスしています。同戦略においては、スウェーデンのソーロ・ビオエナギやフランスのコリアンスを通して地域熱供給セクターに対する投資を実行しており、今後もこの新興セクターへのエクスポージャーを拡大する計画です。

2017年5月、AMPキャピタルは、43件の地域熱供給アセットを有し、サステイナブルな暖房ソリューション・サービスを全国的に展開しているスウェーデンの地域熱供給リーディング・カンパニー「ソーロ・ビオエナギ」に対し、14.7億スウェーデン・クローナ(約163百万米ドル)規模のメザニン・デット投資を実行しました。欧州でも最も寒さが厳しい国のひとつであるスウェーデンは、一年を通して、家庭そして産業用の暖房に地域熱供給が活用されています。ここ30年間、スウェーデンの一人当たりエネルギー消費量は400テラワット時と横ばいで推移していますが、これはEU平均の2倍近い水準です。ここスウェーデンでは、熱ポンプや電気ボイラーといった競合する暖房技術の初期投資費用は高額で、メンテナンス要件が多い事から関連費用負担が重く、かつ再生不可能な燃料利用は課税対象となることからも、地域熱供給アセットは特に魅力的な投資対象です。その他北欧における地域熱供給の投資機会としては、インフラストラクチャー・エクイティ運用チームが2015年、フィンランド、スウェーデン、エストニアで地域熱供給ネットワークを運営する北欧のエネルギー・インフラ企業アドベンの持分50%を取得しています。スウェーデンの地域熱供給市場は極めて細分化しており、ソーロ・ビオエナギやアドヴェンに代表される確立されたプレイヤーにとって、新規の接続や新アセットの取得を通じたポートフォリオ拡大や統合といったオポチュニティが提供される見通しです。

一方で、インフラ・デット運用チームも、フランス全国で地域熱供給を運営するコリアンスに対し、45.8百万ユーロ(約54百万米ドル)規模のローン投資を2015年に実行しています。総長226kmのパイプラインとサブステーション1,000基超を有する同社は、コージェネレーション(熱電併給)発電所の運営も手掛けており、長期売電契約に基づく安定した売電収益を得ています。売電契約締結先は、国有や民間の住宅、学校、病院など、安定した熱供給が極めて重要で、かつ信用度の高いカウンターパーティ複数社で分散されています。ソーロ・ビオエナギとコリアンスは、良好な規制環境下で運営する主要な管轄地区基幹インフラです。

環境面そして拡張性の観点からも優れた地域熱供給事業は、欧州で更に拡大すると見込まれており、多大な成長機会を持つ確立された企業への投資機会が提供されるでしょう。地域熱供給は、注目すべき新興セクターです。

 

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